結果発表の行われる講堂へ
結局、やられっぱなしで終わってしまった。料理の時は連携できても、バレーボールでは連携が全くできない僕たち。
「適度な運動になりましたね! わ、私汗のにおいとかしてないでしょうか?」
「大丈夫だと思う……いろんな意味でそこまで動けなかったし」
「サーブはやかった」
「ねー。でもたうちゃん思ったより動きいいんだね〜」
「最近花凛と走ってたからかな……」
「妹さんと走っているのですか先輩は。結構シスコンなんですね」
「……」
と、のんびり話しながら講堂に向かう。
結果発表がそこで行われる。
僕たちはお手洗いを済ませてから、講堂の中に入ることにした。
手を洗うところで、万佐樹に会った。
「お疲れだな田植」
「お疲れ……」
「結局、マジでお子様ランチ作ったんだな! 審査員の一人が注目って投稿してたもんな」
万佐樹は素直に感心した風にうなずいて、ジェットタオルに手を入れた。
ジェットタオルの音が止まってすぐ僕は訊いた。
「万佐樹のところは結局何作ったの?」
「ああ、俺らか。俺ら結局、クレープ作った」
「なんか女子っぽい」
「だろ。でもあれすごい極めがいあったぞ。まず生地の試行錯誤だけでめちゃくちゃやって……」
万佐樹が色々語りだした。
とにかく、相当試作を重ねたようだ。
「でもなあ。実際、一番作りたかったのは万実音が喜ぶ料理だからな。やっぱりお子様ランチ作る勇気が俺にも欲しかった!」
「そうかよ……」
やっぱり万佐樹、万実音ちゃんのことめっちゃ考えてるな。妹と一緒に走ってるだけでシスコンって言ってくる後輩たちは、万佐樹のことをどんだけシスコンって言うんだろう?
「お互い、いい結果になるといいな」
「そうだな」
ちょうど女子トイレから後輩たちが出てきた。
「お待たせしました! いよいよ結果発表ですね、中に入りましょう!」
浜辺さんが張り切って講堂の中に入り、みんな続く。
さて、どれだけお子様ランチにこめたものを味わってもらえたか。
こうした場で評価されるのは初めてなので、僕は結構、楽しみな気持ちになっていた。
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今日はもう一話投稿予定です。