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みかん⑪

「ほんと、貧乏なくせに見栄っ張りだったんだよね~嘘つきで。ま、今もあんまり変わってなさそうかな」


 ここなは続けて言った。水色のユニホームが、たくさんのオレンジのユニホームの中央に立っている。


 私は、周りの音が消えたように感じていた。ダンスのミュージックがスタートする前の静寂のよう。でも、静寂であるはずがない。まわりはみんな、こちらに注目している。


 苦しくなった。あの時のことが私をここで苦しめるなんて。でも、ここなはあの時は許してくれて。ずっと、一緒に学校のダンスクラブで頑張ってたのに。なんで今日再会したときに……。ここなはどうして……。


 私は逃げ出したかった。周りのみんなの顔が見えない。


 違う。怖すぎて、見れない。


オレンジ色のユニーホームだけが私の視界を覆う。


 もう無理。私はオレンジのユニホームをかき分けて走り出した。


 オレンジが視界に入るのが嫌だった。


 走って誰もいないところへ……私は何度も通路を曲がってから立ち止まった。


 私は通路の端に座り込む。


 自分のせいで台無しだ。


 自分に対する怒りのあまり涙があふれ出て、しばらく瞬きもできずにいると、私は肩をたたかれた。


「みかん……どうした……」


 凛太だった。お子様ランチに夢中になって、今日の発表会には来てくれないだろうと思っていた凛太が、座り込んでいる私と同じ目線にいた。


「……」


 私は、何も言えずに苦しさでうまく吐けずにたまった息を吐きながら、涙が流れたまま凛太を見つめていた。

お読みいただきありがとうございます。今回は短めでごめんなさい。近々次話を投稿する予定です。

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