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みかん⑩

 もうすぐ楽屋へと向かう時間。私は、誰も風邪をひいたりケガしたりしなかったことについて、こんな直前になってほっとしていた。


 そういうあんまり細々としていないことにほっとするのは、やっぱり緊張しているからかも。


 私は、上を向いて眼の力を抜いて、リラックスした。天井が模様が見えないほどにぼやける。


 そして、改めてダンス部のみんなを見回す。オレンジ色のユニホームが、いつもよりもくっきり見えた。


 と、一人、私たちと同じように楽屋へと向かう時間が迫っていて集合していた別の学校の人がこちらに来ていた。


 誰だろう? 部長さんがあいさつに来たのかな。


 そう考えが進もうとしたけどすぐにストップ。だって、覚えている。


「ここな、ですわよね?」


「そう。ひさしぶりだね、ダンス発表会で会えるって私たちらしくていいね、みかん」


 話しかけてきたのは牧本ここな……私と小学校のダンスクラブで一緒だった人だ。


「え? 久々の友達? 誰~?」


音香がこっちに来て訊いてきた。オレンジの集団の中に水色のユニホームの人が混じっているので、目立つみたい。部員のみんなが私とここなに注目していた。


「私の小学校の友達のここなですわ」


「へー! 小学校かあ」


「みかん先輩はそのときからダンスをしていたんですか?」


 後輩の一人が、少し離れたとことから質問してきた。


「していましたわ」


「うん。してたよね」


 ここなは結構大きめの元気な声で言った。本番が私たちより近いのに、堂々としているのがすごい。


「それはおんなじダンスクラブ……?」


 音香の言葉にすぐにここなはうなずいた。


「そうだよ……あ、そういえば……ちょっと懐かしいことだけど」


 ここなは少し笑いながらなぜか、周りを見回した。まるで、みんなが注目していることを確認しているかのように。


 そして、その間は何もしゃべらずに間を取って、再び口を開いた。


「みかんそういや、貧乏でダンス教室通えないのごまかそうとして、お嬢様で、専属コーチがいるふりして嘘ついたことあったよね」



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