雲の観察結果
記念写真をもらうことを花凛と約束してご機嫌なみかんは、一旦自分の家に戻った後、しばらくしたら僕の家に来た。
今日の夕食はスパゲッティ。お子様ランチに取り入れる可能性もあるメニューだし、何より花凛とみかんが食べてくれるので真剣に作った。
よし、自己ベストミートソーススパゲッティができた。
みかんはいつも僕の家でご飯を食べるというわけではないんだけど、今日は来たな。二日連続というのは珍しかったりする。
「ふんごくおいしいお兄ちゃん!」
花凛は喜び最大限。お子様ランチのライスに例えるなら一番てっぺんにいる感じだ。ただ、脇に置いている雲の観察シートにソースが飛んでるぞ……。
「あれ? 私雲のスケッチにこんな未確認飛行物体書いたっけ」
いやだからそれはソースだからな花凛。
「どんな雲が観察できたのか知りたいですわ」
「えっとですねー、ここの下の『観察したこと』の欄の通りなんですけどー」
花凛がみかんに雲の観察シートを手渡す。
「どれどれですわ。……こ、これはずいぶんと興味深い着眼点ですわね……」
みかんが少しためらっている。みかんがこの反応ということは相当やばい……。
どんな感じでやばい観察を花凛がしてしまったのか覗いて見ると……
今日は雲がたくさんありました。まるでお子様ランチのような雲でした。どのようにお子様ランチだったのかといえば、昨日お兄ちゃんが作ってくれたお子様ランチのハンバーグのような雲などがありました。
見事に情報量がない。まだ今日のあみだくじの僕の占い結果の方が簡潔にまとめているだけ評価できる。
「お兄ちゃん、もしかして私文章へたっぴのへたっぴ? 小さい子が、お子様ランチについている一口ゼリーのふたを開けるのとどっちが下手?」
確かに小さい子は、お子様ランチのデザートとしてよくついている小さなゼリーのふたを開けるのに苦労しがちだ。だから僕はデザートは、自分で何か作ろうと思っている。
それにしても、違うジャンルの下手さだから比べられないとはいえ、花凛の方がよりへたっぴでいいんじゃないか……?
さすが現代文ができない僕の妹である。
結局、みかんが「記念の写真のお礼ですわ」と言って、観察シートと文章全般の書き方について花凛に教えてくれた。