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到着と知り合い発見


「着くぞ……聞いてない……? 寝てるか」


「凛太……初めて作ったチョコレートですわ」


 通じてないなこれは。夢の中の世界に行ってまだ帰ってきてないようだ。そして寝言言ってるみかん可愛い。小さく口が動いているところとか。


 仕方がないので強めにゆさゆさして起こす。


「……あ、おはようですわ」


「もう少しで着くぞ……」


「……」


 みかんはずっと僕の肩に乗せていた頭を上げると、恥ずかしそうに手を、露わになっている太ももの間に置いた。


「結構ぐっすり寝てたけど……昨日の夜、ダンスの修正点でも洗い出してた……? もしかして」


「あたりですわ。でももう眠くないですわ」


「よかった……お、建物の間から海が見える」


「眩しいですわね……」


 僕は海を見ているみかんの横顔の方が眩しい……と言いたいところだが、今日はめちゃくちゃ天気が良く、海がめちゃくちゃ眩しい。


 やがて電車は控えめな振動とともに停車。終点だからみんな降りる支度をする。


 竜宮城のような雰囲気のホームに僕とみかんは降り立つ。


 ……家族連れが多いな。ホームを見渡した僕は思った。


 目的地の水族館は都心からは少し離れていて、子供から大人気。


 だからデートに来る人より、家族連れの方が多いかなと思う。


 楽しそうな家族連れの集団の中、みかんと歩いているとなんとなく、恥ずかしくなってきた。


 ……って、あ……。


 前方の一号者から降りた人たち。


 そのうち一人が見覚えある人だった。


 ぬいぐるみ大好きの羽有だ。


 そしてその周りには……小学生が三人。


 そういや、「羽有が小学生と水族館に行くんだって。やっぱあいつぬいぐるみ大好きロリコンだよな」という噂がたっていて、かわいそうにまた変な噂流されてるって思ってたんだが。


 事実だとは……。


「みかん……あそこ」


「羽有くん……ですわね。あと……小学生、ですわね」


 みかんも驚いていた。


 目がミカンと同じくらいは丸くなっているように見える。


 

 羽有のすごいところは、全く恥ずかしそうにしてなくて超のりのりっぽいところだ。


 やばいな。


 こっちは幼馴染と二人で水族館に来ているだけでも家族連れ多数の中で恥ずかしさを感じているのに。


 羽有って小学生の世話のプロかなんかなのだろうか。


 最近どこかで幼馴染ざまぁが流行っていて、幼馴染との関係が良好なケースも目立たなくなりつつあるかもしれないが、流石にそれでも、小学生と関係が超良好な男子高校生の方がダントツで少数派だろう。


 

 そんなことを考えていると、みかんと二人でいることの恥ずかしさはなくなっていた。


 むしろ、これからみかんと楽しい時が過ごせることの嬉しさが、海風とともに僕を包んだ。


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