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体育倉庫⁈


 僕は位置的にみかんと練馬に気づかれないように体育倉庫から出て体育館を通って教室に行くのは不可能だということに気づいたので、そのままそこでぼーっとしていることしかできなかった。


 僕がロリコンかどうかはわからないなといった感じでその話は終わり、楽しそうにバスケやダンスの話をお互いにし始めていた。できればしっかりと考えて正しい結論に行って欲しかったんだけど。


 でも、はっきりいって僕とみかんで話す時よりもだいぶ話が弾んでいて、跳ね返り係数が1になってずっと会話が続きそうだ。


 で、なんで僕は出て行きにくい感じになってるんだろう。


 と考えていると、スマホが鳴った。あれ、ロッカーに入れといたつもりだったが今日はポケットに入れていたようだ。しかも僕は学校では普段スマホは使わないからスマホが音を立てるなんて珍しすぎる。


 誰からかといえば、さらに珍しく、未来からだった。それにしてもこのタイミングか……。


「もしもし」


『あ、凛太だよね?』


「そうだけど……」


『あ、良かった。あれ、でもなんか声が小さいきがするよ』


 それは僕がみかんと練馬にバレないように小さな声で話しているからだ。


 とは言ってもこの状況を説明するのは難しい。できたら二十字以内にまとめたい。


「うーん、実は……今体育倉庫にいて……」


 これでもう十四字か。もういいやこの説明で。僕はそう心に決めながら、なんとなく、現代文の記述で〇点をくらう時と似た感覚を覚えた。


『体育倉庫? 体育倉庫だとなんで静かにしなきゃいけないの?』


「それは……」


『え、も、もしかして、みかんと二人で……?』


「ああ……まあ……」


 僕は未来のセリフが核心をつきそうで思わずぼかす。


 それにしてもなんでみかんと二人で話している人がいるのを僕がこっそり見ているって未来はわかったのか。


 未来もみかんに負けずと劣らず、大体僕がやりそうなことわかってるからな。


 心の中でそういうこと考えていたら、未来の様子が電話の向こうでいつの間にか変になっていた。


『みかんと二人……体育倉庫……え? まさか……あ、あ、あの、大丈夫? 退学とかにならないようにね』


「退学?」


 なんの心配をされているんだ? もしかして未来の学校では体育倉庫が超神聖な場所で不用意に入るのは許されないのかな……。


『あ、ごめんごめん。さすがにそんなことはしてないよね』


「そんなこと? 僕はただ……立っているだけだが……」


『そっか、ならいいんだけどね』


「……」


  未来にホッとされた。なぜだろう。


「……それで……なんで電話を……」


『あ、そうそう。あの、こんど一緒にお出かけしない? もちろん、友達として。みかんとも一緒に行きたいなって思ってるんだけどね、今みかんとスピーカーモードにして話せる?』


「あ、いや……みかんは今手が離せなくて忙しくて……」


『手が離せない? どういうこと? やっぱりなんか……うわあ』


 未来が悩ましい感じの小さな叫び声をあげた。


 今更だけど、未来と話が噛み合っていないんだろうな。やはり簡潔な状況説明は僕には難しかった。


お読みいただきありがとうございます。


三十話目になりました。


ここまで読んでいただけて大変嬉しいです。

本当にありがとうございます!

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