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むにゅむにゅこちょこちょによるしわ


「凛太〜」


 ん……? 


 しまった。上を見上げていてそのまま寝てしまっていた。授業中よく寝ているせいで椅子の上でもぐっすり寝てしまう癖があるが、肝心な時は机の上にお子様ランチが乗っている想像をすれば眠くならないので問題ない。


 いやしかし今に関しては良くない気がする。未来の試合がもう始まってたりしたら失礼すぎる。


 僕は頭の向きを通常に戻そうとすると同時に、むにゅむにゅこちょこちょ。そして目の前に未来がいた。


「応援来てくれてありがと! もうすぐ始まるからね」


「おお……」


 僕は未来(上半身)を見る。ちゃんとみかんの言うこと聞いていて我ながらえらい。


左手にタオル、右手にシェイクハンドのラケットを握っていた。


 と言うことはむにゅむにゅこちょこちょは……


「みかんと花凛……起こし方をもう少し優しめに……」

 

 と言って横を見るが誰もいない。


「私よ」


 後ろから知らない声が……。


「あ、後ろの子は私の友達。卓球部で一緒の。この時間は試合なくて応援してくれるから掛け声とか習ってね」


「あ、わかった……僕そう言うの得意ではないけど……」


「任せて。緊張しなければいいだけだからオッケーよ。あなたと一緒に来た二人がお手洗いから帰ってきたら教えてあげるね」


 うーん。初対面の人をいきなりくすぐってくる人は確かに緊張とは無縁かもしれないが……。


 

「あ、お兄ちゃん起きてる!」


「……」


 花凛とみかんが来た。


 みかんが僕をじろじろと見つめる。


「微動だにせず寝ていたはずなのに、服のしわが変化していますわ」


「そうか……」


 服のしわまで見るとか観察力すごすぎ。


「可能性は二つですわ。一つは凛太が自分で脇腹あたりをかいたか、もう一つは……」


 え、みかんが推理始めたんだけど……しかもお子様ランチの旗を刺すかのようにいともたやすく真相を突いてきそうだ。



『ただいまより、第一試合を開始します。出場選手はそれぞれのコートで、試合を始めてください』


 しかし、みかんが続きを言う前に放送がかかり、


「あ、じゃあ私行ってくる」


 未来が仕切りを超えてコートへと入って行った。


「じゃあ掛け声を教えるわね」


 そして未来の友達はポイントをとった時はどうとか、失点した時はどうとかを話し始めた。


 おかげでみかんの推理は披露されず、なんとかなった。


 僕は服のしわを整える。はい、証拠なし。




 コートへと目をやると、


 対戦相手もコートに登場していた。背が高めですらっとしていて運動神経が良さそうだ。


 でも未来も結構上手いはず。


 花凛の言った通り、白熱した試合になりそうだと僕は思った。


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