茜ルート if
「ヒロ君♡ ヒロ君♡」
軋むベッドで肌を重ね、絹音を囀る日々が今日も始まる。
ゆかりはカレンダーに正の字を付けて回数を記録している。
「ほらほら、朝のノルマは5回だよ♪ ヒロ君頑張れ♡」
俺は若さの全てを持ち寄り、与えられたノルマを熟すよう努力をしていた。
「ヒロ君! 今日は休みだからお昼も10回はしようね?」
「…………え?」
その声に呆然とする俺。朝から課せられたハードワークにサイケデリックな目眩が押し寄せる……。
「茜、たまには外で散歩でもしないか?」
「外でするの? ヒロ君も好きだねぇ~」
「違う違う! 散歩だよ、さんぽ!」
「〇んぽ?」
俺は頭を抱えた。ダメだこいつ早く何とかしないと……。
ポカポカ陽気の公園で、2人並んで歩く姿は何とも平和で普段の淫靡な性活がまるで嘘のように清々しい。茜は手にお手製の弁当を持っており、弁当の入ったバッグの隙間からはモヤモヤと謎の陽炎が立ちこめていた。
「たまには野外でヤるのも悪くないのかな♪」
「おーい……今日は普通に散歩だけだぞ……」
普段一緒に居るから判るが、軽快なスキップで野原を駆ける茜の震源地は正しくノーブラだ。恐らく下も大変な事になっているのだろう……。
頭の中が肉欲塗れの彼女だが、俺は何故か離れられないでいる。まぁ、茜の事が好きなんだろう。
料理は最悪、性格はまぁ最悪。それ以外は最高だからな。トータルでまぁ最高だろう。どうやら俺も相当毒されているようだ。
「ヒロ君お弁当食べよう!」
茜がランチョンマットを敷き、2人が密着して茜の弁当を広げた。怪しい陽炎が風下へと広がっていき、ベンチでのんびりしていた爺さんが倒れた。
「今日はいっぱい頑張ったよ~!」
緑の何か、黒い何か、それと禍々しい何かの数々……。相変わらず説明が無いと何か分からない料理だ。
「はい、あ~ん♪」
俺はフォークに刺さった一口サイズの緑の何かを口に差し出された。とりあえずその正体を聞くと食べる気がしなくなるので、先ずは食べてみる。
「―――オゴッ!!」
まるで赤きサイクロンに投げられたかの様な衝撃が俺の後頭部に襲い掛かる!!
美味い不味いの次元を超越した味は、俺のあらゆる感覚器官を破壊し尽くし俺の意識を吹っ飛ばしに掛かる!
「美味しい?」
悪魔のような天使の笑顔が俺に無邪気に笑いかけた。
「……ヤバい」
「そう、良かった♪」
なにが良かったのかは聞かないでおこう……。
「ところでこれは……何だったのかなぁ?」
ピリピリとした舌の感覚が戻ってきた辺りでようやく俺はその正体を聞いた。
「赤マムシのオムレツだよ♡」
「………………」
聞かなきゃ良かった……。
それからと言うのも俺は謎料理(主に精の付く物)を食べさせられ、帰る頃には俺の若大将がズボンから顔を出すほどになっていた……。
「ヒロ君、後は帰ってするだけだね♪」
「……はは」
結局たまにのんびりしようとも、帰ったらその分ハードワークになるだけなんだよなぁ……。
俺はげんなりしつつも、元気に脈動する股間のごんぎつねを撫でながら家路に着いたのだった―――




