姉ルート if
これより番外編になります。
「おはようございます」
いつも通り出社する。入社二年目、そろそろ慣れてきた頃だ。
「おはようございます!!」
今日は何故か先輩方や上司に至るまで挨拶が大きいな……。
「ヒロ先輩おはようございます!!」
後輩までもが妙な挨拶だ。ここはいつから軍隊になったのだろうか?
「課長、先日の提出書類ですが……」
「ファッ!? あ、ああ! 大丈夫だ! 俺がやっておいたからな!!」
「は、はぁ……ありがとうございます」
「先輩外回りですか? 俺も一緒に―――」
「ファッ!? 大丈夫! 大丈夫だ! お前の分も俺が回るから……」
「は、はぁ……」
な、何だこれは……。一体何がどうなっているんだ!?
社内の謎の変化に戸惑いながらも、俺はその日何とか自分の仕事を見つけては時間まで働いた。
「ただいま……」
「お帰りヒロ♡ 仕事はどうだった!?」
「今日行ったら、何だか急に余所余所しくなっててビックリしたよ。俺に仕事させてくれないし……」
「……ははぁん。さてはヒロの凄さに気付いて恐れおののいたんじゃないのか? まあ、風呂入ってさっぱりしてきなよ。姉ちゃんも後から一緒に入るからさ♪」
「はいよ~」
…………プルルル
「あ~、私だ。余りに不自然すぎるとヒロが言ってたぞ。明日からもう少し普通にするように。それと受付の女のメイクが濃すぎる。ヒロを誘惑するつもりか? お茶出しの女にももっと不味く出せと伝えておけ。ヒロを誘惑するつもりか? それから同期の近藤とやらは風俗通いを止めさせるか去勢しろ。ヒロを誘惑するつもりか? いいな、お前の会社は私の指先一つで吹き飛ぶのを忘れるなよ!?」
ガチャ―――
全く、最近の若いもんは……
「姉ちゃん! 早く一緒に風呂入ろうよ~! アヒルも持ってきて~!」
おっと、嫁が待ちきれない様子だ。早く私も風呂に行かねば……。
「姉ちゃん何処に電話してたんだ?」
「ん? 何でも無いよ。それより、今日は何食べたい?」
「カレーが良いな」
「オッケー♪」
家でヒロを監視して、ヒロが帰れば一緒にいる。何と幸せな日々だろう。
この幸せがずっと続けば良いのになぁ…………。
「姉ちゃん! 姉ちゃん!」
「ん? 何だ?」
―――ブチュ
「へへ、姉ちゃん大好き♪」
―――嗚呼……神様ありがとう。私は何時死んでもいい気分だ!!




