そして全ての終わりを迎え……
やあ、俺の名は島貫。
あれから、ヒロは一週間寝込んだが奇跡的に回復した
しかし、ゆかりさん、茜、歩美、そしてお姉さんとの一連の記憶が無くなってしまった。こんな悲しい結果になった以上、無い方がヒロの為なんだろうが誰一人幸せになっていないのは切ない終わり方だろう。
俺はいつも通り隣を歩くヒロの顔を眺め、溜息を胸の奥へとしまい込んだ。幸い通い慣れた学び舎への道だ。頭が真っ白でも足が勝手に動く。
―――ドン
「おっと……」
俺は余所見をしていたせいか、前を歩いていた誰かにぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい」
それは、すっかり毒気の抜け清楚の塊となった茜だった。俺は無礼を謝り、ヒロも軽く会釈した。当の茜も眉をひそめ会釈をすると、無言で立ち去ってしまう。
どうやら本当に記憶も何もかもが無くなってしまったようだ。俺のこともヒロの事も忘れている。
あわよくば、俺のことは……と思ったが、それは甘い期待だろう。それならば俺の事も忘れてしまった方がお互いのためだ。
「なあ……あんな可愛い子、うちの学校に居たか?」
ヒロの目が茜の去って行った後を追いかける。まあ、確かに普通にしていたら可愛い部類だろう。ヒロは新鮮な顔をして俺の方を向いた。俺は眉を潜め、適当に返事をする事しか出来ないと言うのに……。
「……さあ?」
そして俺は前を向く。なるべくこの話題を避けるかの様に。
もう二度と関わらぬ事を祈りに込めて……。
「あんなに可愛いのに興味無いのか?」
「生憎な……」
「ははぁん? さては島貫……」
「な、何だよ……!」
「そっちの気があるな?」
「ねーよ!」
俺達は、冴えない普通の学生に戻る。刺激的な狂愛も狂おしい寵愛も破壊的な束縛も必要無い。俺達に必要なのは何の変哲も無い日常と細やかな青春だけだ。
俺達は、普通の愛が欲しいだけなんだ―――
―Normal End―
本編はこれにて以上となります。
今まで読んで頂きましてありがとうございます!!
さて、これよりは各キャラ毎のifルートになります。BadもHappyもやりたいって、なったのでこの様な形を取りました。
短編の様な形でお楽しみ頂ければと思いますので、後少しだけお付き合いの程、宜しくお願い致します。
(*´д`*)




