俺の知らないところで何だか凄いことになってるんだが……
「よう」
登校中、電柱に背中を預ける島貫の姿があった。
かなりやつれた姿で居間の俺でも指先一つでダウンを取れそうな位に弱々し胃顔をしている。
「生きてたか」
俺は含み笑いを込め、島貫に哀れみの目をくれた。
「何とかな……もう女はこりごりだぜ」
「止めろ、なんかそれっぽく聞こえるぞ」
俺は身の危険を感じて一歩引いた。すると、トン……と軽く俺の背中が誰かにぶつかった。
「すみません……」
「あ、すみま―――」
それは歩美だった。
歩美を見たのは久しぶりの事。しかし島貫は何やら複雑な顔をしており顔を背けていた。やはりメスに興味が無くなったか……哀れ島貫。
「歩美!」
俺は通り過ぎた歩美の背中に声を掛けた。
「? ……どちら様でしょうか?」
「へ?」
「………………」
俺は思わず島貫の顔を見た。そして島貫は首を横に振る。
「用が無ければ行きます。では……」
そのまま歩美は去ってしまった。
「島貫、何か知ってる顔だな……言え」
「ああ、丁度話そうと思っていた所だ。学校サボって俺ん家で話そうぜ」
!
「いや、そこの公園にしよう。何か有るといけない」
俺のケツが掘られるとかな……。
念には念を押しておかねば。
「……? 分かった。そうしよう」
公園に着くと島貫は木陰のベンチに座り、詳細を話し始めた。
歩美が茜を意識不明にした事。歩美の持っていた薬を使ったら、歩美は『俺や島貫』の事を忘れてしまった事。別な薬で茜が意識を取り戻して、上手くヤったと思ったらダメだった事。
―――え?
「茜は……まだヒロを狙っている。性的な意味でな」
「や、俺にはゆかりが……」
狼狽する俺は辺りを見渡し無事を確認せざるを得なかった。
「そのゆかりさんだが……」
「お、おい。何だって言うんだ……」
その時、公園の砂を踏む音が聞こえた―――
「あら、二人とも……サボりかしら?」
実に聞き覚えのある破壊的な声。
俺は振り向き顔を見るが、俺の知る茜が何処にもなく、そこに居たのは悪魔の顔をした何かだった……。
「逃げるぞ……」
「……ああ」
阿吽の呼吸でタイミングを計る俺と島貫。
「GO!!」
その刹那! 島貫が地面から砂を拾い上げ茜へと投げつけた!
俺はその隙に駆け出し、後から島貫がついてくる!
「ちっ……逃がさないわよ♡」
砂を払い片目を擦りながらも、茜は後ろから追いかけてくる!
「で!? どうすんだ!!」
足の速い島貫が俺の隣を併走する。
「俺が足止めするから、お前は先にアソコで待ってろ!」
「スマン! 任せたぞ!!」
島貫はそのまま立ち止まり、俺は先へと向かった―――!!




