弟に悪い虫が着いたので幼馴染みに払って貰います。
一難去ってまた一難。腐れ陰湿メス女が大人しくなったと思ったら、今度はポッと出の良く分からん女にヒロを取られる始末!!
天下三分でヒロ(天下)を取り合うバランスが、この数ヶ月であっという間にゆかりに攻め滅ぼされそうだ……。
ここはお互いにいがみ合っている場合では無いな……。
「と、言うわけで手を組まないか?」
自室に招いた茜が、如何にも疑うような眼差しで私を見つめている。ヒロが急に夜のバイトを始めたので10時までは帰ってこない。私はその隙にアバズレビッチをココへ呼んだ。
「大体の話は分かりましたけど、どうしてお義姉さんがヒロ君の為にそこまで?」
私は私の愛の事は伏せ、悪い虫を退治する旨だけを伝えていた。
「私はな、ヒロには茜ちゃんが相応しいと思っているんだ……」
私渾身の営業スマイル!
これで落ちなかった取引先は……無い!
「え……? そこまで私の事を…………」
流石アホだ。チョロい。
このまま上手く行けば言う事は何も無い。
「プランはこうだ。
①変装してヒロに近付く。
②仲良くなる。
③ネタばらし。
④『やっぱり茜が好きだ!』
以上だ。何か質問は?」
「……具体的な方法は?」
「追って報告しよう」
よしよし、何とか騙せそうだ。
「よし、それじゃあ早速変装を開始するぞ?」
私はネットで得た知識を総動員し、変装に取り掛かった。
……
…………
………………
「よし、完璧だ」
私は己の才能に震えていた。
「わあ、凄いですね!鏡に映った私が別人です!」
「モデルはAV女優の川原くるみ。ヒロのドストライクだ!」
悔しいが変装した茜は完璧に美しい。そしてエロい。女の私でも濡れてしまいそうだ!
「後は私が適当に話を付けるから、今日はヒロとすれ違って帰るんだ。それとこれもやるから勉強するように」
地元銘菓の紙袋に入った沢山のDVD。それらは全て川原くるみのDVDだ。
「こ、これは……?」
「川原くるみに成り切るんだ」
ガチャリと玄関の扉が開く音がする。どうやらヒロのお帰りだ。
「よし、作戦開始だ。あ、今日は喋るなよ?」
「……(コクリ)」
「おかえりヒロ」
「ただいま~。 ふぁっっっ!!」
おお! 案の定素晴らしい反応だ!
これなら行ける!
軽い会釈をし、川原くるみが帰って行く……。
「ね、ねねねねねね姉ちゃん!?
あの御仁は!?」
わぁ……反応が良いのは嬉しいが、姉ちゃんちょっと哀しいぞ?
「会社の後輩だよ。専務の娘さんでな。私が面倒を見ることになったんだ」
「そ、そうなんだ……」
「どうした? 何か気になるかい?」
「い、いや別に……」
ヒロはそそくさと部屋へ行ってしまった……。
クク……これは上手く行きそうだなぁ! クソビッチがヒロを誘惑して泥棒猫と対峙させる。ヒロが泥棒猫に興味を失ったらネタばらしだ。クソビッチからも興味が失われて私がヒロを独り占め!!
これぞ古の兵法『駆虎呑狼の計』だ!
ちょっと違う気がするが、大体のニュアンスは合ってるだろう! ヒロの為なら士気6でも12でも払ってやるぞ!? 城ゲージがなんぼのもんじゃい! 最後に落城勝利すれば良いのよ!!
イク様どうか私の雄姿を見ていて下さいませ……。
私は心のマイ軍師に勝利を誓った。
 




