幼馴染みへの贖罪とゆかりへの想いに揺れる俺は……
ヤンデレにも色々種類がありまして、例えばこの作品には陰湿なヤンデレ要素が多く詰まっております……。
俺は昼休みになると、俺は屋上で歩美の昼食のサポートに入る。
「歩美ちゃん大丈夫か?」
島貫と茜が心配そうに見守る。事の経緯を聴かない辺りに彼等の優しさが滲み出ている。きっと言わなくても俺と歩美の様子から察したのだろう。
「1ヶ月もあれば治るみたいなので、大丈夫ですよ」
歩美の笑顔を見て二人は安心したような顔をしている。俺にはその笑顔が濁って見えたが……。
いや、気のせいだろう。俺はゆかりとのデートを邪魔された事に一人で怒っているだけに違いない。悪いのは俺だ。今は歩美のサポートに集中しよう……。
放課後、俺は歩美を家まで送り届け夕食の準備に取りかかる。椅子に座った歩美が指示を出し俺がその通りに作る。やや浮かない表情の俺とは裏腹に、歩美の表情はとても愉しげだ―――
「いただきます♪」
今日の夕食は野菜炒めとスーパーで買ったハンバーグ。
私は先輩の方を向き、餌をせがむ雛鳥の様に口を開き先輩の箸を待った。
口に触れる箸を先輩の指の様に嘗め、まるで新婚生活のような甘い一時を味わう。
(好きな人と一緒に居る時間は最高よね♪)
先輩の顔は浮かないが、いずれ慣れるだろう……そして受け入れるだろう……そして気付くだろう……私の方が良い女であることに……。
この腕が治るまで、あの女には近付けさせないんだからね……先輩♡
先輩の寵愛を食べた私。現在の時刻は7時、母親は10時まで帰らない。
「暫く残業を入れたから…………上手いことやりなさいよ?」
今朝の母親の一言を思い出す……。
やはり母親には全てバレているみたいだ。その上で全てを託すと言うのだから、頭が上がらない。きっと若い頃は私よりヤンチャだったに違いない。
「先輩……その…………」
私はワザと恥じらいながら話し掛けた。
「……あ、ああ。どうした……?」
先輩の顔に以前の陽気さが感じられない。
大丈夫♪私が直してあげるから―――。
「お風呂に……」
「あ、ああ、今帰るから―――」
「ううん。脱げないから……」
「……へ?」
「それに洗えないから……」
「い、いや…………」
「一緒に入って…………?」
「……………………」
―――俺は絶句した。
確かに何かと不自由だとは思うが、一人で入れない程では無いだろう……。歩美が一体何を考えているか理解出来ないぞ……。
「先輩?上着をお願いしますね?」
歩美が俺の方を向き、ベストのボタンを外すようせがむ。
『歩美のお世話をお願いね……』
歩美の母親の一言が呪縛の様に、俺の中を渦巻き肥大化する。
「…………ああ」
俺はなるべく歩美の方を観ないようにボタンを一つ一つ外していった。しかし、どうしてもブラウスのボタンを外す際に歩美の淡い桃色のブラが目に入ってしまう。
<……ヒロ君…………>
<あんまり良い気分じゃねぇなぁ…………>
「下もお願いしますね。ホックが右側なので…………」
俺は、なるべく心を無にして歩美のスカートを下ろした。
「……あの…………ブラのホックも……」
歩美が背中を向き、静かに俺の所作を待つ。
俺はブラのホック何か外したことないが、何となく知識では外し方を得ていた。
ぎこちない動きでホックを外し、俺は逃げる様に脱衣所を去った!
「……先輩。ありがとうございます」
歩美がお風呂へ入り、シャワーの音が聞こえてくる。
俺は、心を無にして食器の後片付けをした…………。
 




