梅雨明け、そして夏休み。まあ、俺はバイト三昧ですけどね。
新章突入です。物語は更にドロドロしていきます……
ジメジメした梅雨シーズンにさよなら!
俺は照り付ける太陽の中、干上がったミミズの様になっていた。
「あぢぃ…………」
「くぉら!サボるな!!時給100円にするぞ!!」
現場の鬼監督が暑さでダレる俺に向かって、労基法に喧嘩を売っていた。
俺は今、真夏の炎天下の中引っ越しのバイトをしている。夏休み限定だが中々に貰いがいい。まあ、その分辛いけどね……。
「島貫め……俺にはキツい仕事紹介しといて自分は冷凍室のバイトかよ……」
俺は裏切り者島貫をいつか懲らしめてやろうと心に決め、仕事へと戻った。
「今日も……疲れた……」
疲労困憊の体を引きずり、自宅へと戻る俺。バイトを始めた理由は至極簡単だ。
『ゆかりをデートに誘っても金が無い!!』
まだ告白すらしてないが、学校で話す分にはとても良い雰囲気である……筈。うん、自信は……無い。
『8月10日リニューアルオープン!!』
電車で少し離れた水族館のチラシを眺め、俺はゆかりとのデートプランを考えてはその先を妄想する日々を送っていた……。
<茜……>
<歩美タン……>
この頃はオッサン達も大人しい。俺はゆかりとの平穏なラブストーリーを送るのだ!!
<ヒロ君よ……待て>
――おっ、何だオッサン。久々だな?
<いきなりデートに誘っても、失敗するぞ?>
<そうだな。撃沈するな>
――な!何を根拠に!!
<だってヒロ君デートした事無いでしょ?>
<デート童貞だからな!>
――ガガーン!! た、確かに…………。
童貞が初ピーの時に失敗した話はよく耳にする!
つまり人生初デートも……。
<そこでだ……>
――お、おう……。
<皆で海にでも行ったらどうだ?>
<おっ、いいねぇ!>
――ちょっ! いきなりハードル高くないか?
<友達にも遊んでやれって言われてるだろ!?>
<そうだそうだ! 俺達の愛娘の責任を取れ!!>
――わーったよ!行くよ!行きますよ!!
<……それと、誘う順番は気を付けろよ?>
<島貫君も誘えよ?>
――色々と注文が多い奴等だ……。
俺は、先ず島貫に声を掛けた。
「海に行かないか?」
「……お前と俺とでか?」
それは勘弁してくれ。
「その~……一緒に行きたい子が居るんだが……いきなり二人っきりは恥ずかしくて……」
俺は電話越しにモジモジとした。傍から見たら気持ち悪いだろう。
「…………3人でか?」
何だろう、島貫の声が少しキツい気がした。マズったか?
「皆でだ。茜と歩美も誘おうと思う」
「う~ん…………」
島貫はしばらく考えた後にようやく口を開いた。
「いいんじゃないか?たまには皆で遊ぼうぜ?」
「そ、そうか!そうだよな!ははは!」
「茜には俺から声を掛けるから、歩美の方は頼んだぞ!」
「オーケー」
こうして、俺達は海へと出掛けることにした。
目指すはその先のゆかりとのデートだ! これを成功させて俺は青春を謳歌するぞ!!
<おうおう、張り切って失敗しろ!>
<骨は拾ってやるよ!>
嘲笑うオッサン達を無視し、俺は海への準備を考えた―――
読んで頂きまして、ありがとうございました!
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