麻薬カレー。ダメ、絶対!
『無い物は無い。しかし彼女はそれを許さない』
by スケベビッチ・ヤンデレーナ
「で、ヒロ君をどうするの?完全に目が死んでるよ?」
茜さんの胸に顔を埋める先輩はそのまま動かず、今にも死にそうだ(別の意味で……)
私は無言で袋から植物を取り出し先輩の鼻へと近付けた。
「…………おお!?」
先輩の顔があっという間に元気になる。
「これ……麻薬か何かかな?」
「……私もそんな気がします」
2人はとても嫌な予感が当たっていない事を祈りつつ、ハイになった先輩を見つめた。
「これは燃やしましょう。先輩が壊れてしまいます」
「……そうだね。勿体ないけど止めとこう」
私は茜さんと二人で台所のコンロで植物を焼いた。これでもう先輩がおかしくなることはないだろう……。
換気扇をフルパワーで動かし、煙を外へと追いやる。外の人達ごめんなさい。きっと良い気分になっている事でしょう。
「後は時間を掛けて元に戻しましょう。その間に茜さんの手料理を食べさせるのも良いかもしれませんね……」
ショック療法と呼ばれる荒治療だ。唯し確証は無いけれど……。
「いいね♡」
茜さんは冷蔵庫から禁忌に近い食べ物を取り出しては先輩の口へ次々と放り込む。あれが元々はスーパーで売っていた普通の食材だなんて信じられない。どうやったらこんなに壊滅的な腕前?技術?テクノロジー?になるのか不思議で仕方ない。
「ヒロ君♡ リフレッシュ! リフレッシュ!」
「あばばばばばばばば…………」
先輩は目から七色の涙を零しながら茜さんの手料理を喰らっていた。別な意味で死にそうだが、これでも死ねないんだから先輩もある意味丈夫である。
―――無い!!
「クソが!!!!」
部屋に誰かが忍び込みやがった!!奴等に違いない!!完全にやられた!!
迂闊だった! 野郎共を甘く見ていたのか私が浮かれていたのか! とてもじゃないが暫くは冷静を保てない程に怒り狂っているぞ私は!!!!
――プルルルル
「へいへい」
「あの草もう一回よこせ!!!!」
「うおっと!……姉さんそれは無理でっせ。アレが最後の1つです。後は3ヶ月掛けてジャングルの奥地へ行きますか?」
「クソが!もういい!!」
私はスマホを切り、ベッドの上に叩きつけた!
何処までも邪魔をする小賢しい女共め…………!!
今に見ていろ! ヒロとのヴァージンロードを歩くのはこの私だ!
フハハハハハ!
ヒャーーーハッハッハッ!!!!
 




