姉ちゃんのカレーは本当に美味しいので毎日食べても飽きません。
『彼女は特筆して優れた魅力は無かった。故にその愛が際だったのだろう……』
by ヤンデレーノ・パイオツスキー
夜になり、ある程度風邪の具合が良くなると俺は姉ちゃんのカレーを平らげた。2人はいつの間に帰ったのだろう?茜の強烈な昼飯で胃が腐敗しかけたが、今は姉ちゃんのカレーで元気復活だ!
「美味しいか?」
正面に座る姉ちゃんの笑顔が眩しく映る。テーブルに肘をつきながら手に顔を乗せ、ニコニコと俺の方を見つめる。
「仕事忙しいのにゴメンな」
「良いんだよ」
姉ちゃんは綺麗になった皿を持って洗い物を始めた。俺は風呂に入り部屋へと戻る。
<おっ、やっとテレビ映ったぞ?>
<ヒロ君生きてるかー?>
全自動麻雀卓に座りタバコを吸う2人。俺の中は無法地帯だなホントに……。
――ジャラジャラ
「ロン! 平和ドラ1 2000点!!」
「なっ! 安手の早上がりめ!!」
――うるさいぞ。寝れん!
「……あ!そのウーピンは何だ!チョンボだろ!!」
「あっ!しまった!!」
―――うるさい!!
「あ、はい。すみません……」
オッサン共を黙らせ、俺は眠りについた。早く風邪が完治すれば良いが……。
翌日、俺は無性に姉ちゃんのカレーが食べたくなった。
「まだまだあるから、たんとお食べ」
その言葉に甘える様に俺は三食ともカレーを食べた。
GWが終わり憂鬱な学校が始まると、俺は姉ちゃんにカレーを持たせて貰い、昼休みに屋上で食べる事にした。
「珍しいな。カレーなんて」
休みボケで昼夜逆転している島貫は、眠そうにパンを食べている。どうせ暇だからって夜な夜な卑猥なサイトでも見まくってたんだろう。下品な奴め!
「妙に喰いたくなってな」
俺はがっつくように姉ちゃんのカレーを食べた。
「ヒロ君♡お弁当作ってきたぞ~」
ハイテンションの茜。相変わらず元気だ。
「すまん、今はカレー以外食べる気にならん」
と、俺は島貫の肩を叩いた。
「うはwww」
島貫は乾いた笑い声を出し、死にながら茜の弁当を平らげていた…………。
まぁ、最後には死んでたけどね♪
「ただいま~♪」
俺は妙なテンションで家へと戻り。姉ちゃんのスマホに『賛美歌13番、カレー求む』と連絡を入れた。返事は直ぐに返ってきた。
『スマン、今日は帰りが遅い』
俺は落胆した……。
しょんぼりとした気持ちで母親が用意した玉子丼を食べるも、何を食べているのか分からない位に味気なかった……。
姉ちゃんのカレー以外胃が受け付けないのか、半分程残してしまった。
そして俺は姉ちゃんのカレーを食べ続けた結果、姉ちゃんのカレー以外何も食べたくなくなってしまった……。
「先輩、お弁当一緒にどうですか?」
「カレーあるから大丈夫だ」
「ヒロ君♡」
「処理班頼んだぞ!」
「ヒロ、カレー出来たぞ♪」
「ウヒャッホイ!!」
俺の体はカレーに支配された……。
「ヒロ君最近変だよ」
「先輩大丈夫ですか?」
帰り道。2人が変な心配をしだした。
「俺?何も無いよ。全然いつも通り」
「いや、最近お前からカレーの話しか聞いてないぞ?」
島貫が険しい顔で俺を見る。茜の弁当を押し付けたのを怒ってるのか?
「とにかく!俺は大丈夫だから気にするなよ」
俺は足早に皆と別れ、家へと戻った。早く帰って姉ちゃんのカレーが食べたい!!
「ただいまー!姉ちゃんのカレー!!」
俺は自分でも気が付かない程に姉ちゃんのカレーを欲していた。ダメだ、姉ちゃんのカレーが無いと落ち着かない!!
『姉ちゃんまだー?カレーカレーカレー!』
「ふふ、そろそろ自制が効かなくなってきたな。今夜から始めようか。ああ……楽しみだなぁ♡」




