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1つ下の幼馴染みはとても可愛げがありますが、やはり何かが壊れている様です。

皆壊れていれば、それが普通になる素晴らしい世界。

狂った人が怖ければ自分も狂ってしまえば良い…………

「先輩、何か選んで下さい♪」

 質素な服から大物歌手の紅白衣装の様な派手な服まで並ぶ一角で、歩美は鏡の前で服の上から体に合わせては楽しそうにはしゃいでいた。


<ヒロ君ファイト!>

<おう!早く犯せや!>

 もはや応援なのか何なのか分からない罵声を浴びせられながら、俺は直感的に気になった服を見繕う。


「これなんかどう……かな?」

 俺は落ち着いた服や爽やかな服を組み合わせ、歩美へと手渡す。

「試着してみますね♪」

 歩美は嬉々として試着室に入った。暫くガサゴソと物音がし、歩美が着替えている様子が分かった。試着室の前で1人待つのは何だか恥ずかしい物がある……歩美よなるべく早く頼むぞ。


「じゃん!どうでしょう♪」

 歩美が試着室のカーテンを開けると、淡い水色のワンピースを(なび)かせこちらの反応を窺った。


「お、おお…………」

 しまった。何て答えるべきか分からないぞ?

<素直に褒めりゃあ良いんだよ!ヘタレ!>

<歩美タンカワユス……>


「先輩、(私)()()()()()()()

 歩美の笑顔が俺に答えを恫喝する。

「ああ、()()()(服)と思うぞ」

 俺は値札へと目をやる。だめだ、とても英世ブラザーズが勝てる相手では無い。


 その後も歩美のファッションショーが続く。

「良いんじゃないか?」

「似合ってると思う」

「それもいいかもな」

 俺は数少ない精一杯の賛辞で歩美の服を褒め称えた。


 約2時間にも及ぶファッションショーに飽き飽きしてきた俺は、大げさに時計に目をやり歩美に話しかけた。

「そろそろお昼にしないか?食べても大丈夫なのか分からないけどさ」

「大丈夫ですよ。……多分」

 俺は腹の中の爆弾を心配しながらも、今一番食べたいマッグへと入店した。


「好きな物食べて良いよ。俺が出すからさ」

「ありがとうございます♪」

 流石にマッグなら英世くん1人でも勝てるだろう。庶民の味方様々だな。


「すみません、超ダブルフィレオ2つとポテトの3Lと……あ、アップルパイのスペシャルを1つ!」


 待て、何やら聞いたことの無いメニューが並んだぞ?


「歩美さんよ、今頼んだのは……」

「え?裏メニューですよ♪今流行なんですって!」

 うぅん?英世くんの表情が怪しくなってきたぞ?


「――――合計で1970円です」

 店員のにこやかな笑顔が、その時は俺の心に突き刺さるように痛かった。さらば英世ブラザーズ…………


「次でお待ちのお客様どうぞ~。お待たせ致しました!」

 残金30円の俺は、もうお客様では無い。

「……………………お水を、下さい……」

「はい!かしこまりました♪」

 水しか頼まない俺に対して、店員さんの暖かい笑顔が向けられる。俺は……許されたのだ。



「先輩食べないんですか?」

 並々と盛られたポテトの山脈を堪能する歩美はとても幸せそうな顔をしている。

「ああ、スマイルでお腹いっぱいだ……」

 美味しそうなポテトの匂いで腹の虫が騒ぎそうだ。


 ……あ、爆弾入ってたんだった。

「あ、歩美さん歩美さん。爆弾さんをそろそろ~…………」

 俺はポテトを口いっぱいに押し込む歩美へ恐る恐る話しかけた。

「まだでーす♪」

 俺はその言葉を聞き、落胆のあまりテーブルに顔を伏せた。



「ふふ、先輩♡」

 やけに甘い声を出す歩美。

「はい、あーん」

 俺が顔を上げると、歩美は齧ったポテトを俺の方へ向けていた。


「あーん?」

 細くしなやかな指に支えられたポテトはそのまま俺の口元へ……。俺は恥ずかしながら目をそらし静かに口を開けた。


 歩美の指が俺の吐息がかかる程近くまで近づき、ポテトは俺の舌の上に乗った。しかし歩美は手を離さない……。俺は口を開けたままアホ面をかますしかない。


あふひ?(歩美?)

「先輩とても面白い顔♪」

 歩美の指が俺のだらしなく開いた口からの吐息で湿っていく。


 ようやく引かれた指に付いた塩をペロリと舐めると、歩美は次のポテトを摘まみ半分に齧る。

「はい、あーん♡」

 歩美の顔が恍惚としていく。

「おいお――」

 俺が難色を示すのを予測していた歩美は俺の言葉を遮る様に爆弾のボタンに手を掛けようとする。


「…………」

 俺は黙って口を開いた。

 今度は直ぐにポテトが収め終わる。が、歩美の攻勢は終わらない。今度はポテトを自分の口に入れ、塩気を全て舐め取り俺へと差し出した。


「終わるまで……帰しませんよ♡」

 歩美の顔は今までに無く悪魔的だ……。


 歩美の唾液がたっぷりと塗布されたポテトは官能的な味。嫌々やらされている筈の俺なのに、俺の申し子は完全に喜んでいる。歩美から滴るドス黒い液が俺の心を染めていく様は、俺から正常な判断と理性を狂わせていく…………。

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