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結果待ち-2

 お前も何か言わへんか、こいつらの思い通り動かされても良いていうんかいな」

 川辺は萩原の胸倉を掴むと、勢い任せに掴み上げた。川辺が掴み上げた事により萩原の体は、半ば中ずり状態になった。

 

「お前、このままやったら生身で戦争に参加せないけないんよ。それでも良えんか? 冷たい弾丸を演習の時みたいに受けたいんか! 真っ二つになりたいんか!」

 

 川辺は掴み上げて、なお怒声を浴びせた、それは彼の友情なのだろうが明らかに逆効果だ。萩原の眼からは今にも涙が溢れそうになっていた。

 

「よせって、今更揉めたって仕方ないだろ」

 

 俺は川辺の肩に手を乗せて言った、仲間割れを避けたかった。本当なら、俺の仕事ではない。逆上する部下を静めるのも彼ら重役の仕事なのだろうが、高島は上の空で自分のコーヒカップの返りを待っているし。

 マーキスの口元は半分笑っていた。

 この状況の何が面白いっていうのか。

 

「大将、揉めてもしゃーないか。えっ? 偉く冷たい事言うんやな」

 

 肩に手を乗っけた事により、川辺を引き付けたつもりだったが、川辺の血走った目に鬼の形相には思わず身構えてしまう。

 

「そうじゃない、今更熱くなっても解決しないんだ。萩原の目を見てみろって」

「えっ、あっ、あぁ」

 

 川辺は俺から萩原に視線を移すと、今まで力任せに置いていた胸倉の拳を緩めると、萩原は人形の様に崩れ。目からは覇気も、生気も感じられず、そこに横たわるのはまさに、生ける屍の姿だった。

 

「まあ、そういう事だ。これが事実、まるで軍隊に向かない、根性が無い。そういった輩は一度地ベタを這いずり回らなければ治らないのだよ」

 

 消えかかる火に油を注ぐ様にマーキスは半分笑いながら俺達に言葉を浴びせた。

 奴らが勝手に作り上げた法案に付き合わされて、下手をすれば死ぬ……。 俺ですら拳に力を込めていた……。

 そんな時だ、給湯室の扉が開き、不安定にトレーを持つ高島の助手がまた現れた。

 

「遅くなってすみません、一からコーヒー落としていたら時間架っちゃって」

 

 ヨタヨタと歩く助手は、自分の定位置に戻ると、高島へとコーヒーを渡した。

 

「熱いから気を付けてくださいね」

「落としたてのコーヒーは一段と香りも強く味も深い、待つだけの価値はあるね」

 

 高島は助手からコーヒーを受け取ると、一口付けながら味と香りを堪能し自分前へとカップを置いた。

 隣で繰り広げられた会話、まるで別次元だ……。

 力、熱を奪い去って行く。

 

「それより、高島さん何の話してるんですか? 前の二人顔赤いし、一人は真っ青ですよ……」

「マーキスが少し意地悪をしていたんだよ、良い大人だと言うのにみっともない」

「そうなんですか、どんな意地悪ですか?」

「ほらさっき言っただろ? この中から一人落とすと」

 

 そう言うと、高島は俺達を見回した。

 

「真っ青に萎れた彼が不採用になったわけだが、その傷をマーキスが突いているんだよ」

「酷いですね。長い間軍隊に係ると高島さんも血が鉄になっちゃいますよ」

「そいつは良い、くだらない情に流されなければ何時も以上に研究が捗りそうだ」

 

 そう言うと、高島は上機嫌に笑みを浮べた。丸で別の世界で話す会話に暫し呆気に取られていた。

 

「ちょっと静かにしてくれないか。今良い所なんだ」

 

 マーキスが訝しげに高島達を見つめると、助手は煙たげに顔背けた。

 その後、先ほどよりも声を小さくし、高島との会話を再開した。

 

「それで彼どうして不採用なんです?」

「あぁ、言わなかったかね? 試験中もずっと無口な奴がいるって」

 

 マーキスは、隣に構わず話を進めようとしていたが、声を小さくして配慮する助手に変わり、高島は変わらぬ声量なため、遭えなく出鼻を挫かれる事となった。

 

「えっと、無口の萩原君でしたっけ……」

「そう彼だ、コミュニケーションが取れないとチーム内では使い物にならないからね」

 

 高島のその言葉を聞いたとたん、助手は間抜けな声を上げた。

 

「おい。いい加減にしないか!」

「遅れながら申し上げます」

 

 苛立ちが頂点に達したマーキスへ、姿勢を直した助手の声が衝突する。

 

「何かね今更」

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