運命の三ラウンド-3
――フラフラ、いや機械は無事だ、直立仁王立ち、茫然自失と立っている。フラフラなのは俺の方だ。普段使わない頭と度胸をフル回転で使ったために、思考が著しく低下してるんだ。
正直、中の人の状態まで伝えるのは難しいだろう。だから、今だって隊長は勝手に先に進んでる。
「あの人戦闘が苦手なわりに、移動だけは早いんやから……」
半ば呆れた調子で四号機は通信が入ってきた。
俺はその通信を聞いて深く溜息をついた。
「全くですね……」
確かに、移動だけは早い。次の敵が何処に居るかが分かるかの様に振舞うその移動には、まるで付いていけそうにない。
そんな事を考えている間に、隊長は既にキューブ四つ分先を進んでいた。
俺達の居る場所からキューブ四つ分直進した場所で止まった隊長は、先ほど同様辺りを見回していた。どうやら敵を探しているみたいだ。
大分落ち着いて来た俺は、今の状況考察する事にした。
頭数なら俺達の方が有利になった。だか俺には腑に落ちない事が少しだけある。
三号機を助ける為に敵の頭上から落下物として出現した俺の機体は、何も知らない敵側に取っては奇怪な光景だっただろう。
それはもう、魔法を使われたような。ゲームなら明らかなチート行為。だが、それももう通用しないだろう。
俺達の居る場所はバレた。キューブの上は、もう安全地帯じゃないのかも知れない。
俺が焦るのにも理由がある、この機械は倒しても直、情報だけは漏れるからだ。
俺の思考はまたしてもフルに回転し始めていた、通信用のボタンを押すと、なるべく隊長を刺激しないように通信を入れる。
「隊長、俺達がキューブの上に登ってるって事、敵にばれてるかもしれません」
「えっ! 何で?」
隊長からの返事は予想通りのものだった。そして、俺が今の起きている状況を隊長に報告しようとした時だ。通信連絡から微かな悲鳴が聞こえてきた。
「キャッ!?」
その声は明らかに隊長からの通信で、俺はその声に気が付くと隊長が居るキューブの方向へと視点を移動した。視点の先、隊長の機体をカメラが捕えた。
どうやら、機体は動いている。多分、迂闊に顔を出したために敵に見つかったのだろう……。
「大丈夫ですか? 迂闊な行動は避けてください」
「本当ね、何かもう上に居る事バレちゃってるみたい……」
「ホンマかいな、ワイもそっち行くさかい待っとれや」
四号機はそう言うと、隊長の居るキューブへと移動を開始した。四号機のパイロットも敵の様子が気になる様子、やはり即席チームじゃ纏まった行動は取りにくいか……。
四号機が前方へ移動した事により、俺も四号機の後を追う形になった。一応辺り一面、自分の確認出来る範囲で、他の敵が居ないかを確認する。
念のための行動とはいえ、こういった行動が重要なのだ。本の二、三秒、周囲を見回すだけ、周りに不審な敵影も無く、
改めて前方へと視点を移すと四号機はすでに移動を終えていた。どうやら無事隊長と合流出来たみたいだ。
少しばかり溜息がコクピット内に流れる。
「俺も、そちら側のキューブへ移動を開始します」
俺は一言無線を入れてから、機体を動かし移動を開始した。
少しばかり助走を付けて、キューブからキューブへと渡る。先ほどまで無事にできていた事。視点を若干下にしてキューブと通路部分を見極めて飛び上がる。
その直後だ、隊長から通信が入って来た。
「えっ、今来るの? それはちょっと待った方がいーんじゃないかな」
その口調は訝しげで、俺の取った行動がまるで間違いであるかのような発言だ。とはいえもう飛んでしまったのだから仕様が無い。
俺は仕方なく前方の着地点を確認して、着地態勢を取った時だ。前方から奇妙な音が鳴った。
その音は第一ランドでトラウマを覚えた音。そして、気の抜けた音に似合わずの威力。
考える間も無く俺の視点に煙を噴いた、丸い物体が飛び込んできた。
隊長達を狙っているはずなのに、目測を誤って飛んで来るランチャー弾は俺と空中直撃コースで勢い良く飛んで来る。
このバランスを取らなきゃいけない重要な時期に……なんで飛んでくるんだよ……。
案の定、ランチャー弾は俺の機体へとぶつかった。




