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二ラウンド目――終了

右のキューブを進んで45メートルくらいだろうか。

 前方から不気味に聞こえて来る、金属音に気が付き俺達は足取りを止めた。気が付けば一ラウンド目にグレネードを食らった通路の前で立ち止まっていた。

  状況から判断するに、この先に敵が居るのは明らかだ。二機で先手を打てば余程の事が無い限り倒される心配は無いだろうが。

 

「隊長、この先敵がいるので気を付けてくださいね」

「わかったわ。敵を見つけたら照準を合わせて……どれだったっけ?」

「右の人差し指です」

 

 俺は隊長に通信を入れると、合図を出し、敵が居ると思われる通路へ勢い良く飛び込んだ。

 案の定、青いTSCがライフルを構えて立ち尽くしていた。機体の数は一機、ナンバーも前回と同じ。俺が出て来るのを待っていたかのように、グレネードランチャーのトリガーを握っている。

 俺はその姿を見て占めたと思った。この状況、この近距離、遙かに俺達が有利だ!

 俺は急いでライフルを構える動作をみせると、その光景に焦ったのだろう青いサイクロプスは大慌てでグレネードからライフルへと武器を切り替え始めた。

 俺は敵が武器を切り替える前に射撃を開始しする。

 右側の人差し指に付いているトリガーボタンを押すと、ライフルは奇麗な銃声を三回連続で鳴らし、九発の弾丸は波となって敵のサイクロプスを襲った

 俺が射撃を開始してすぐ、隊長の援護射撃がも入って来た。

 正直期待はしてなかったが……。

 案の定、碌にリコイルコントロールもしない隊長の射撃は、俺の後ろで遥か上空を撃ち続けていた。

 トラックボールでの射撃はやはり難しい、それに加えて三点バーストだ。

九発撃ったというのに敵の腕と足に一発しか当たらないじゃないか。

 こんなはずじゃなかった、俺は焦っていた。

 いくら撃っても埒が明かない。

 弾が敵に当たらない。

 何よりも焦る原因となったのは時間が経過しすぎている事にある。武器変更の最中に倒す算段が。敵はすでに変更を終え、俺達へとライフルを向けているじゃないか。

 そして、二発単発でトリガーを引くと、吸い寄せられるように、敵の弾は俺の機体の頭部へと当たった。

 金属音が二発分木霊した

  さらに続けて二発……。

  暫くしてディスプレイの右上に俺達の名前が表示されるのに時間はかからなかった。

  その直後、四号機から通信が入っる。

 

「おっつー、大変やったなー」

 

 どうやら左側を攻めていた連中はすでに全滅していたよだ……集中していて全く気がつかなかった。

 今回も全滅、このまま行けば三ラウンド目も全滅するのは火を見るよりも明らかだ。

 

「隊長、これ動かすの始めてでしょ?」

 

 苛立ちが隊長へ唐突な質問を投げかける。

 

「そっ、そんな事ないわよ! さっきだってホールで動かしてたんだから! そりゃー、戦闘は初めてだけど。あなた達よりはキャリアあるわよ」

 

 隊長の話だとこうなる……。

  先程のホール内でサイクロプスのデモ機を動かしていたのが隊長なのだと……。

  空高くジャンプして格好良く宙返りをしたのが隊長なのだと……。

  更に乱れぬ直立姿勢で着地したのが隊長なのだと……。

 

「あれ動かしてとったの隊長やったんか、偉い格好良く決とったな。ああ言う動きワイらも出来へんのんか?」

 

 四号機の意見は最もだ。

 最初のラウンドで動作確認をした時の事だ。移動速度やジャンプ力を確かめてみた。

 だが速度はデモ機に及ばず。ジャンプ力ですら2メートル前後だ。

 それに引き替え、デモ機は凄かった。目測でもわかる、デモ機は駆動面で演習機の二倍程の性能があるんじゃないのかと思えるくらい、軽快に動いていた。

 

「ああ、あれね。演説の時はプログラムで動かしていたからできたのよ」

「プログラム?」

「……この機体も、プログラムで動かす事って可能なんですか?」

「ええ、勿論可能よ。物は全部同じはずだから」

 

 隊長はシレッと言い放った。

 可能だと。

 

 そして隊長のその発言を最後に甲高いブザー音がコクピット内に響き渡ると、瞬劇の二ラウンド目が終了したのだ。

 その後マーキスのアナウンスがコクピット内に流れ、先程同様五分間の休憩が取られる事となった。

 隊長はこの五分という短い時間を利用して俺達に特殊プログラムの説明をする事になった。

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