TSC――始動
コクピットの中に入ってから既に十分程の時間が流れただろう。未だ真っ暗闇の中、俺は自分の周辺に何があるのかは大分把握する事ができた。
技術者が俺を押しこんだ時に見えたのだが、座席正面には確かディスプレイがあったと思。
そして、真下にはキーボードがあった。結局今の所分かるのはそれだけだ。キーボードの左右に何か複数ボタンが配置してあったと思うが、俺の知識では何に使う物なのかまるで理解できなかった。
更に時間が流れただろう、俺の頭上でアナウンスが流れ始めた。どうやらスピーカーは座席の真上に設置されているみたいだ。
「それでは、これから皆さんには試験を受けてもらいます。初めに操作説明、続きまして試験のルール説明、最後に実戦という流れになっています」
大層無愛想な女性の声で流れるアナウンスが、これから試験が開始される事を俺に告知した。
他の三人も俺同様にコクピットに座らされているのだろうか……。
「では初めにサイクロプスの操作説明からです。以降サイクロプスの名称はTSCと略しますので、間違わないようにしてください」
スピーカーの音源が歯切れ悪く一旦途切れると、甲高いチャイム音がコクピット内に流れてきた。
「テスト・ソルジャー・サイクロプス。TSCの操作方法は私から説明するかね」
次にアナウンスが入った時俺が聞いた声は、先程ホール内で聞いた声だ、印象に残る籠った声は間違える筈も無い、声の主は科学者……。高島だ。
高島がアナウンスを変わったのと同時に、今までまるで反応を示さなかった座席正面のディスプレイが急に動き出した。
駆動音も上げずに動き出したディスプレイに多少驚きはしたが、問題無い、これで少しばかりの光源を確保する事が出来る。
真っ暗だった画面は一面ブルーを押し出し、俺を真っ暗闇から救出してくれた。
光源としては若干頼りないが、今は文句を言っている暇はない。是で、自分の手元に何があるのかちゃんと確認する事が出来るのだから。
「直、今現在コクピット内は暗闇だと思う。コクピットの照明スイッチは頭上にあるはずなので各自確認してくれるかね」
――次に会った時、こいつらただじゃおかねー
そういった情報はもっと早く教えて欲しいものだ。俺はコクピット内で中腰の姿勢を取ると、照明のスイッチを手探りで探した。
案の定、俺の頭上に小さなボタンがあり、それを押す事で、蛍光灯の照明がコクピット内に降り注いだ。気が付けば何処となく懐かしい明かりだ。
これで気兼ねなくサイクロプスの資料を読む事が出来る。
高島のアナウンスの合間を縫って広げた資料には、コクピット内のボタン配置が明確に記されていた。




