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プロローグ2

 俺の体はすでに動いていた、「このままではまた数で押される」そう思い、一度来た道をまた引き返す羽目になった。今度はこっそりなんて言ってられない、できるだけ早く路地へと隠れるんだ。

 生憎隊長も俺と同じ意見だったらしい、俺より先に路地を進んでいた

「不味い事をしたなー、あれじゃ兵力を分散させた意味がないじゃないか」

 俺の前方を走る隊長は呆れ顔で悪態を垂れた。

 俺が路地へと隠れた直後の事だ。後ろ側の中央道路、バスの方向から爆発音が聞こえた、手榴弾のお返しを食らったらしい。

 反射的に後ろを見る俺の姿に気が付き隊長が言った

「気にするな、今は戦争中、目的の達成が絶対だ。そのためにはどんな犠牲が出たって後ろを振り返っちゃいけない、振り返って良いのは戦争が終わった時だけだ」

 隊長の戦争理念を聞きながら、隊長と俺は前方の出口、道路目指して全速力で走って行く。服が擦れる音や、ダンボールを踏みつけ音。そんなのが気にならないくらいに早く足を前へと出していた。

 やがて路地から道路へと移動していたために明るい光源が俺の全視界に入いり、俺は一瞬足を踏み留める事になる。

 そして、出遅れる俺にお構いなしと言った具合に俺の前方の隊長はすでに道路へと足を踏み出していた、光源に怯んでいる俺へと支持を出す、隊長が何かを言おうとした瞬間。

 先程と同じ用に聞きなれたスナイパーライフルの乾いた銃声が俺の耳へと伝わってきた。その後、隊長は静かに両足の膝を付くとそのまま動かなくなった。

「まさか! 体長が殺られるなんて」

 前方で起きたありえない状況を俺は必死に理解しようとしていた。そして俺はそのまま動く事が出来なくなってしまった。

 引き返すべきか、そんな事を心の中で考えている最中。前方の道路から、大地を強く蹴って走る足音が聞こえた。

「ちきしょう、気付かれた!」

 俺は小声でつぶやくと、今来た道をまた引き返す決意をした。

 石の用に固まった後ろ脚を何とか動かすと、体を180度反転させるよう体を捻った。だが、その直後。前方の道路から敵の姿が視界へと入って来る。

 姿を現わした敵兵は俺の姿を確認すると躊躇する事無く銃器を構えた。

 俺もその姿を確認して銃器を構える。だが後退姿勢を取っていたために、構えるのに手間取ってしまう。

 次の瞬間俺はアサルトライフルから発射された銃弾という波に押され、冷たい地面へと勢いよく叩きつけられた。

 徐々に俺の視界が真っ暗になっていく。俺はこの何処とも知れない戦場で、ビルの隙間、路地という一本道で息絶えてしまうのだろう。

 そして、完全に視界が真っ暗になったのを俺は確認し終えてから、パソコンのキーボード左端の「Tab」キーを押した。

 ディスプレイに表示されている真っ暗な画面に今残っている敵見方の兵力を確認する事が出来た。

 

 敵の数は残り六人、そして見方はと言うと残り二人になっている。どうやら中央道路側の敵兵士と華麗な爆撃戦を繰り広げていた見方は奇しくも一人兵員を欠いたものの、向かい側のバリケードに隠れていた敵兵士を倒す事が出来たらしい。

 俺も中央道路の戦闘に参加しておけば良かったか。

 そんな事を考えていると、今までブラックでしか表示されていなかったスクリーンは三色色素を融合させて鮮やかな色彩をまた映し出した。

 映し出したのは見方の姿、三人称視点で元気に動き回る姿を確認する事が出来る。

「Enter」キーを押せば死んだ奴ら同士で会話をする事も可能だ。

 暫く見方の画面で立ち回りを観察していると先にリタイヤした隊長からチャット連絡が入ってきた。

 

 

 ID

 島根の隊長-----:「おしかったねーb」

 Seidou-------:「まあ次のゲームがありますからねw」

 島根の隊長-----:「敵のスナイパーが優秀すぎるんだよw」

 無敵超人Z-----:「w」←最初に撃たれた奴

 鷹の爪---------:「うわーん」←分散した時に味方の投げた手榴弾をくらった奴

 

 

 敗者のチャット場という事もあり結構荒れ果てている。

 俺はディスプレイを置いてあるパソコンラックに肘をついて、口元を手で覆い勝負の行方を見守っていた。

 そして、敗者の部屋へと次々に敵見方かまわず送り込まれて来る。全世界による対戦のため、チャットの通じる奴通じない奴がいる。比較的日本人の多いこのゲームでも外人が入って来れば。その荒れようは凄まじく半ば収集がつかなくなっていた。

 そんな中アナウンが入り、勝負の行方を告げた

「レッドチームの勝利!」

 俺の口元が微かににやけた、なぜなら、レッドチームは俺の居た舞台だからだ。

 中央道路を進んでいた見方が敵の裏取りに成功したらしい。勝敗がついた事により今まで混沌としていた敗者のチャット場に純粋な活気が湧き上がってきていた、次のゲームへの意気込みという活気だ。

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