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非日常的日常(旧)  作者: 長男
8/85

第八話 受付

ゴツイおっさんが仲間になった時の安心感は異常だと思います。そんな経験ないですが。

3/24 試験を月毎ではなく年単位にしました。

「ここが受付だ」


 二十メートルはありそうな長い木製カウンター。それを挟んで忙しそうにしている大勢の人間がいた。

 向こう側の人々はギルド協会の職員だろう。白のワイシャツと小物入れの付いた分厚いベルトで揃えている。

 こちら側に居る人々は皆、色彩形状共に様々な装備を着込んでいる人々が冒険者だろう。たまに半袖短パンの若者や裾の長い着物姿の年長者なども見受けられるが、槍や剣などを携えているところを見ると、彼らも冒険者なのだろうか。


「なあ、こいつらも全員参加者なのか?その冒険者認定試験ってやつの」


 が人の群れを見ながら、涼が誰にともなく尋ねる。


 冒険者認定試験――ここに来るまでの道中に知らされた、冒険者になるための試験。が、試験といっても学生が聞いたら真っ先に想像するような筆記試験ではなく、参加者同士で戦う試合形式で行われるそうだ。モンスターと戦う職業なのに対人戦とはこれいかに。まあ安全やらコストやらを考慮した結果なのだろう。

 ちなみにこの試験は三月の第四土曜日に行われるらしく、それはつまり俺らに与えられた猶予は一週間ということだ。あいつも、もう少し早く読んでくれればいいものを。ていうか年月日、地球と同じなんだな。

 勿論この世界の人々も参加する。涼が言っているのはこのことだろう。この筋骨隆々ヒャッハーヘアーの皆さんと戦うとなったら、こちらもそれ相応の覚悟を決めねばなるまいて。


「いや、彼らはすでに試験を合格した冒険者だ。ここは冒険者の仕事である『クエスト』の受付も兼ねているからな、彼らはその受注や報告をしているのだろう。用があるのはあっちだな」


 そう言うと、クロはカウンターの左隅を指差した。

 カウンターには『冒険者認定試験受付』と書かれた看板が立てられている。ということは、


「あの金髪とデコ頭も参加者か」

「だな」


 丁度、カウンターでは三人の男が受付嬢と話していた。

 一人は輝くような金の髪と赤や黄などを基調とした派手な服装が目立つ少年。服からして裕福な家の子供だろうに、冒険者なんて荒仕事をするのか。


 そしてもう一人、メガネをかけ額を広く出したカジュアルな服装の少年。不自然なあの髪型は、おそらく整髪料を使っているのだろう。メガネとワックスとは、服装もそうだが、かなり現代的な格好だな。


 そして最後の一人は、明らかに年代が違う大きな体躯の男。高橋が冒険者にカウントしなかった男性だ。二人の少年を守るように後ろに立っている。おそらく彼らの保護者だろう。武装をしているわけでもなく、冒険者ではなさそうだ。


「若いな」

「私らもな」

「でもあれよかシロのほうがちっこいぜ」


 確かに。

 が、そこにシロが待ったをかける。


「失礼な!全く、私はこれでも十六歳だよ!もう立派な大人なんだから」

「そして私は十七だ!」


 今明かされる衝撃の事実、年上だった。あと十六はもう大人だった。自立早いな。


「俺と優太は十五だぜ。高橋は?」

「十五」

「同い年なんだ」

「ってことは私のほうがお姉さんだね!」

「世の中には精神年齢というものがあってだな」


 それから二、三分経ち、俺たちは彼らがロビーから外へ出るのを見届けてから受付へと移動した。なんか気まずいし、あとで戦うかもしれないし。

 受付にいた女性職員に履歴書を渡し、登録手続きとしていろいろ説明された後、インクのよく出る万年筆でサインをした。こういう、生活用品とか文房具とかを量産する工場があるのだろうか。それともこの施設が富裕なだけか。

 ともあれ、こちらの世界の価値観を早めに知っておきたいな。まあある程度の時間と経験が必要だろうが。


 登録が完了すると、今度は魔法の『鑑定』をするとシロが言った。


「鑑定ってことは、すでに俺らも魔法を持ってるってこと?」

「うん。だけど魔法の種類は千差万別だからね。どういう魔法なのかを、その道のプロに聞きに行くんだ」

「ちなみに魔法というのは通常、個人の持つオリジナルのもののことを言うが、手順を踏めば誰でも扱える『魔術』というも存在する」


 魔法と魔術。さっきコトブキがやっていたのは前者か?指パッチン位しかしていないし。

 だが魔法なら、それすらもやる必要がないのでは?いや手順が不要だとは言ってないか。


「魔法にも手順が必要な場合とかってあるの?」

「あるぞ。といっても、必須ってわけではないが」

「どういうこと?」

「魔法っていうのは、魔力さえあればいつでも使えるものなの。けどいつも使いたいとは限らない。だからなにかしらのアクションを必要とする人もいるの。一番メジャーなのは、言葉による発動かな」

「呪文か」


 心踊り胸騒ぐワードを聞き、少し、足の動きが速くなるのを感じた。


自分の中では受付嬢って言ったら緑帽子のあの人ですね。好奇心旺盛なお姉さんっていいですね。

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