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非日常的日常(旧)  作者: 長男
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第四話 車内

もう少し設定な話が続きます。できるだけ飽きないよう小ネタとかも挟むよう頑張ります。

「ではこれからの予定をお話しします」


 東武さんは、黒を基調としたビジネスバッグから四枚の紙を取り出し、俺たち二人に二枚ずつ手渡しする。一枚はこれからのスケジュールについて、もう一枚は報酬について書かれているようだ。

 東武さんは同様の紙を手に持ち、それに目を通しながら話しはじめる。


「では日程と書かれた紙を見てください。ただいまから約一時間ほどで境目につきます。途中で船に乗りますが、お二人は船酔いなどは大丈夫ですか?」


 そういえば、船なんて乗ったことないな。だがまあ大丈夫だろう。


「大丈夫ですぜ」「同じく」

「では続きを。向こうについたら一階の104号室に行きます。そこでもう一人の参加者と合流していただき、三十分ほど今回の目的について説明させていただきます」


 もう一人いるのか。知らなかった。


「そのもう一人ってどんな人ですか?」


 涼の問いかけに、東武さんは少し間を置いてから答えた。ああ、個人情報だからか。大人って大変だな。


「そうですね、私はお二人の担当ですので詳しくは知らないのですが…お二人と同年代の女性です」


 歳が近いのか。近年の若者は現世に飽きつつあるようだ。ヤバイぞ日本。


「かわいい?」「無視して結構です」


 東武さんは少し困ったような声を出してから説明を続けた。


「ええと、説明を終えたのち契約書類等にサインをしていただきます。事前に申し上げていた判子はお持ちですか?」

「はい」「はい」

「同意のサインをしていただいた後は、施設の中央に位置する境目へ移動。そこで預かっていた荷物をお渡しし、境目の向こう側へ行っていただきます。これが今回の予定です。なにか質問はありますか?」

「特に」「何も」


 多分移動やらなんやらするとき、また説明してくれるだろうし。特に気になるところはない。


「では次に報酬について説明します。もう一枚の紙をご覧ください。報酬金額やその他の待遇などに関してはそこに書かれているとおりです。これらはホームページに記載されていますので、すでに知っていると思います。注意してほしいのはその受取についてです。お二人が報酬を受け取れるのは『一度向こうへ行って、三年以内に戻ってくる』場合だけです。期限を過ぎれば報酬は別の第三者へと譲渡することになりますが、その相手はもうお決まりですか?」


 戻れなくてもお金貰えるんだ。受取人は...孤児院とかでいいか。


「まあ、なんとなくは。涼は?」

「被災地とかの方々に役立ててください」


 同じようなもんか。あ、でもまだ具体的に俺言ってないから便乗した感じになっちゃうじゃん。しまった。しかも無駄にきりっとした雰囲気出してるし。さっきの「かわいい?」の質問をした人物には思えないイケメンさだ。イケメンさってなんだ。

 東武さんは驚いたように、初めて後ろを振り向き尋ねてきた。


「い、いいんですか?それで?」


 その時俺に電流走る。この期は逃さない。


「ええ、まあ。それで誰かが助かるのなら、それでいいですよ」


 完璧だ。後手特有の便乗感を出さないために、当然のことのように言う。そしてさっき言えなかった自分の意見も示唆する。両方がこなせた最高の返しだ。


「そうですか。では後ほど104号室で書類に残していただきますので」

「はい」「はい」

「ではこれで車内での説明は終わりです。しばらくの間お待ちください」


 俺は貰った紙を四つ折りにして上着のポケットに突っ込んだ。


著作権侵害の程度がよくわからない今日この頃。

連続投稿します。

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