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非日常的日常(旧)  作者: 長男
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第二話 感想

冒険するまでめっちゃ時間かかります。気長に読んでくれると嬉しいです。

 兄のことを端的に表すのなら、変わった人、というのが一番しっくりくるだろう。

 誰に対しても毅然とした態度を崩さず、自分のことを常に第一に考え、けれども人にも優しく、時には厳しく。言葉にすると矛盾のように感じるが、そのことがまたしっくりくる。うん、やっぱり変な人っていうのがちょうどいい。

 そんな兄は二年前、ちょうど今の俺と同じ十五の時に家を出た。何を思ってのことか、それは未だにわからない。あの時期の俺はまだ幼く、あまり鮮明には思い出せないが、あの時の兄の顔が印象的だったことは覚えている。警察に捜索届を出そうかとも思ったが、兄には兄なりの考えがあっての行動だろうと思い、止めた。


 そんな兄から手紙が来た。

 曰く、異世界に来ないか、とのことだ。


 行きたいと思った。理由は、単純に面白そうだと思ったからだ。

 しかし次に、これは本当のことなのか、と思った。

 もしこれが誰かの悪戯だとしたら、その誰かの候補は二つ。兄か、その他か。

 もし差出人が兄で、手紙の内容が嘘だとするならば、二年間まったく連絡を取っていなかった弟に突然手紙で嘘をついた、ということになる。さすがにないな。

 次、その他の場合。兄以外の人物を上げるとなると、必然的に俺の家族構成を知っており且つ兄が家にいないことを知っている人物ということになる。この条件を満たす人物と言えば、お隣さんくらいか。だがあいつにそんな趣味はないだろう。

 ということで、これは嘘ではないと考える。





「ってかんじ」

「候補すくなっ!」

「気にするな」


 同じく中学を卒業したばかりの幼馴染、戸田涼はこれまた同じく暇を持て余していたようで、連絡をするとすぐに来た。

 そして手紙を読み終えると同時に後ろを指差す。


「これってあれだよな。『境目』だよな」


 俺は頷く。


 二年前、東京湾に大きな石造りの「門」が現れた。門と言っても、戸のない縁のみのものだが、他にピッタリな言葉が思いつかない。

 国はこれを『境目』と名付け、その周りに陸地を作り研究施設を建てた。そして、この『境目』の向こう側への視察志願者を募集した。

 はじめはさまざまなメディアが挑戦した。俺も生放送を見ていたが、あるのかすらわからない向こう側に行けた者はいなかった。

 次に多くの若者が「異世界」を信じて連日殺到したが、遂に二人の志願者が向こう側へと行った。個人情報故彼ら彼女らの情報は語られていないが、いつかのインタビューで施設関係者がうっかり漏らした言葉によると「学生」だったとか。

 しかしその学生たちとの連絡は取れず、結局進展はなかったらしい。

 それから二年後、今もなお国は『境目』の向こう側とどうにか連絡を取ろうとし、成功者には莫大な報酬を設けた。しかし、過去成功した二人は戻ってきておらず、報酬は本人以外の人間に譲渡するしかないからため、あまり意味はないような気がする。

 ちなみにここまでさっきネットで調べた。


 涼はしばらく考え込み―――、と思っていたが、この腰の据わった親愛なる幼馴染は、いとも簡単に答えた。


「俺も行くわ」


 期待通りの返答ではあるが、こうまで迷いがないと逆にこっちが悩んでしまう。けっこう大事な選択だと思うけど、いいのかな。

 しかし、正直に言うと、一人だけで行くのは心細かった。『境目』に行っても絶対に異世界に行けるという保証は無い。

 だが何故か、こいつとなら絶対に行ける、と思った。兄と似てるからかな。基本的にアホなところとか。

設定説明回です。

連続投稿します。

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