第十一話 高橋憩の場合
打ってて気づいたんですが、高橋の下の名前ってまだ出てませんでした。
高橋 憩 です。クロとかシロとかはフルネームです。
前回までのあらすじ
魔法の鑑定をしてもらいに来た優太たち一行は、待っている間にクロとシロから魔法について教えてもらっていた。曰くこの世界の魔法には「レア魔法」といういかにも強うそうな魔法があるらしい。その言葉に、もしかしたら自分が…と期待してしまっていた優太は、高橋の一言に驚愕した‼「あ、あたしそれだわ」
うそやろ
「た、高橋、今なんて?」
心なしか、声が震える。
「いやなんか、レア魔法だって言われた。向こうで」
「本当か!」「うん」
突如何もない空間に巨大な白い手が現れた。大きさは
「これがあたしの魔法『大きな手』だってさ」
名前に何のひねりもないが、強そう。
「おそらく分類としては『具現化魔法』になるんだろうが…。憩、この二つの手を動かすことはできるか?」
「うん」
高橋が両手を動かすと、大きな手も合わせて動いた。
「つまり、どういうこと?」
「憩の魔法は『具現化』と『操作』の二つの性質を持っているということだ。」
「これはレアだね」
マジかよ…。いや仲間なんだから喜ばしいことなんだけど。…いいなあ。
「えっ!?」
突然体が圧迫された。いきなりの出来事にびっくりしたが、どうやら高橋の『手』に捕まったらしい。それなりに手加減をしてくれているのだろうか、痛さは感じない。
けどいきなりなんなんだ。
「ちょっと付き合ってくれない?」
「はあっ!?」
予想外の言葉に声が裏返ってしまった。
が
「具体的に何ができるとかは聞かされてないから、実験」
ああ、そういういことか。うん、だよね。「付き合って」とか初めて言われたから変なリアクションとってしまった。恥ずかしい。
その恥ずかしさを誤魔化すように、無駄に声を張り上げて言った。
「それって人体実験てことかよ!」
「危ないことはしないから。今も別になんともないでしょ?」
少し乱暴な口調になってしまったが、高橋は淡々としている。くそ、なんか悔しい。こいつのほうが場数踏んでいそうだな。
「まあ、そうだけど。…じゃああんまり乱暴にするなよ」
「あいよ」
それから俺は、大きな二つの手にもてあそばれ続けた。
投げられたのは超怖かったけど、ジェットコースターみたいで少し楽しかった。
高橋は気遣いのできる優しい子なんです。そして今日で三話連続。頑張りました。