神より選ばれし者たち
神より選ばれしぼくらはペンを持ち立ち上がった。
これはきっと使命なのだと、今日も取り憑かれたように小説を書く。
祈り、希望、生きる喜び、深い悲しみ、脂肪に塗れた心根、記憶の欠片を綴り紡ぐ。
ぼくらは傍観者で、ぼくらは偏屈で、ぼくらは言っちゃ悪いが傲慢で、ぼくらは嘘つきで、ぼくら自身の物語はとっくに終わっていて、それなのに愚かにも、いつか救いがあるなんて、頑なに信じて止まない。
しかしだ。
倒れていく同じ使命を背負った、愛しき人々の屍を踏み台に、
物語を拾った読み手の、喜んだ顔でも想像しながら、
誰かの幸せの為、世界平和の為、閉ざされた未来の為、いつも、今日だって、分け隔てなくペンを走らせる。
ハッピーエンドを願いながら。鼻歌でも歌いながら。
ショート集、バラ売り第三弾です。