表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターズクロニクルオンライン  作者: 引きこもり貴族
1/12

プロローグ

同時進行で別小説を書いてるため遅いかもしれませんが、ちゃんと書きます。

ゆっくりでよければ呼んでください。

フルダイブ型MMORPG――――――。

この言葉に引かれたオンラインゲーマーはどれだけいるだろうか。

コントローラで攻撃や移動をするのではなく、キーボードのWASDで移動でもない。

手足を動かし、自由に草原を駆け巡る快感。

それでいて命の危険と隣り合わせという緊張感。


誰しもが一度は思う「現実の自分とは違う自分」になれる瞬間を。



時は2152年―――夏。

一人の少年が一つの物語に出会う。








~~~~~~~~~~~~~~~~~~











肌を突き刺すような日差しを常に降り注がせる太陽。

活力の象徴とも言えるそれは多くの人間もその恩恵を満遍なく与え続ける。

それは否応なく与えられる。


「あ~~~~~っちぃ~~~~~~~~」

間延びした活力とは無縁とも呼べる声の主は一人、ベッドの上で無気力に寝転がるのみだった。

焦点の合わない視線は部屋の中をぐるぐると彷徨うばかりで落ち着かない。だらりと伸ばした腕はベッドからはみ出し空中でぶら下がるのみ。


ごろりと体をベッドの上で転がすが特に何も進展はしない。

ただ無気力な気分が気怠い気分になるだけだ。


チラッと視界に見える姿見に視線を送る。

そこにはまさに堕落の一言に尽きる少年の姿が映る。




「……なんか面白いことねぇかな…」


鏡に映る姿に問いかけても当然答えは帰ってくることはない。


少年――大空オオゾラ カケルは日々堕落の毎日だった。

昼前に起き遅めの朝食を取り、インターネットで動画サイトを回り、お気に入りの動画を最初から垂れ流す。

そして気づけば夜になり腹が減る、そこで一日で二回目の食事をとる。

空腹を満たせば再び動画を見る作業に入り疲れたら寝る。ただそれだけの毎日だ。


本来そんな堕落生活を続けていれば家族が黙っていないだろう。

だが彼にとって家族は無意味に等しい者だった。


母と言っても血は繋がっておらず、養母という奴だ。自らを教育する意思のない自由で身勝手な女。

父も母と同じく養父である。しかし顔を見たのはいつの事だか定かではない。生活するのに必要な金だけを俺と母の口座に送ってくるだけの男。


そんな二人が彼の自堕落な生活に干渉してくることはなかった。


そもそも両親は翔を残し交通事故で死亡している。

わき見運転が原因だった。

翔と両親をまとめて轢いた。

しかし両親が身を縦にして彼を守ったことで彼は奇跡的に一命をとりとめ、結果一人となった。


母の妹夫婦である養父母に預けられるが俺の事を邪魔者以外の何者でもないらしく日々鬱陶しそうに俺を見るだけだ。

養父は俺に対して金を払い『義務は果たしている』と言わんばかり無関心。

養母は俺にわずかでも金が流れることすら不満らしく時折俺に小言を繰り返す。


そして両親の思いでがある実家に養父母ともに移り住む。

それだけで彼は心が引き裂かれる思いだった。

勝手に捨てられる思い出の品、怪我される思い出。

それだけで彼の心は深く傷付いた。



隣にも幼稚園からの幼馴染が住んでいるが今の俺には関わるつもりがない。

両親が生きていたころは仲良くやっていたが養父母ともに愛想が悪く、そのせいでお隣さんとも疎遠になってしまったのだ


それでも翔は養父母に関わらせたくないという一心で幼馴染を突き放す。

きっとあの子も俺のせいで傷付くと分かっていたから。





まだ学校がやっている間はいい。

何も面白くない毎日も学校で過ごしていれば半分は終わる。

帰ったら適当に食べて寝るだけだ。

しかし夏となると当然学校は夏休みというものに入り当然休校。


唯一の暇つぶしとも呼べる場所がなくなってしまうのだ。


ゲームや本を読んでもどうしてもハマれない性格なのか長続きしない翔はまだ8月にすら入っていないというのに、あまりの暇さに心が折れかけていた。



そんな時携帯が揺れるのがわかる。


普段他人と連絡すら取らない彼にしてみれば携帯が自発的に音が鳴るというのは稀な事だった。

「…なんだ?」

開いてみれば一件のメールが届いている。


件名には『大人気フルダイブ型MMORPG…』と途中で表示限界で途中で切れてはいたが内容は分かった。

またいつもの広告メールか、そう思い削除しようとした時翔の手が止まった。


「MMORPGか」

今までいろんなことに手を出してみたがフルダイブ型のMMOはやった事が無い。

何よりゲーム機が高いのだ。中学生やそこらの小遣いでは買うのは難しい。


しかし興味が強くなると翔は削除画面の「いいえ」を選び改めて内容を確かめる。


『大人気のフルダイブ型オンラインゲーム【モンスターズクロニクルオンライン!】

ついにサービス開始!広大なフィールドを仲間と共に駆け抜けるなんて当たり前!

貴方はいったいに何になる?戦士?魔法使い?いいえ魔物です!』



「はぁ?」


思わず声に出た。

オンラインゲームっていったら武器を手に魔物を切り伏せていくものが殆どだ。

それなのに戦士でも魔法使いでもなく魔物と記されている。

これは魔物使いとかの誤字だろうか。


「とりあえずググってみるか」

パソコンの前まで移動して椅子に腰かける。

手慣れた手つきでゲーム名を調べるといくつかタイトルが出てくる。

先にレビューの内容を見ると「発想が奇抜・なんでこうなった・まさかの討伐される側」などと辛辣な分が目立つ。

しかしそれと同じくらいに「遊んでみると気づくと日付が変わってる・時間泥棒・返せ俺睡眠時間」などというネタのようなグッドレビューだった。


次に公式サイトを見てみる。


世界設定を見ると「異世界レイヤース」多くの生き物が生息する世界。

主人公はそんな世界に転生をする異世界人という設定らしい。

異世界に転生してしまった主人公は各地を旅にしながら強大な敵と戦っていくというなんともメインストーーリーが

しっかり作られているのか少しばかり不安になりそうなゲームだった。



ざっと目を通してみるとプレイヤーは性別・診断テストなどを済ませると自動的に転生モンスターが確定するらしい。


どうやらモンスターの指定もできないようだ。

だがレベルアップなどを繰り返していくと進化によって上位個体に変化もできるらしい。

その進化の系譜は現在8000通りと描かれている。


「…やってみるか」

気になる値段を調べてみる


ソフト自体はどうやら案外安価だった。

では気になるハードの値段を調べてみる




やはり高い。

が、なんとか変えないわけでもない。

養父が送り付けてくる金は毎月一定金額になる様に補充される。

そうとわかった翔は毎月一定の金額を引き下ろし現金管理してある。



思い立ったら即行動をする翔。

ネット通販サイト密林でソフトとハードを共に注文をする。



注文を終えると不思議な高揚感を感じながらベッドに寝転がる

この買い物がはずれでないことだけを願いながら瞼を閉じる。





・・・・ポ-ン

ピンポーン



「はっ」

何度かなり響くインターフォンの音に飛び起きる。

頭の覚醒が間に合わないながらもドタドタと部屋を出て階段を下りる

玄関を開けると例の通販が届いたのだ。


急いで代引きを済ませサインをすると二つの品を受け取る。

部屋に戻る最中一階の部屋を見る。

すると全ての電気は消えていた。


「…?」

荷物を置いてキッチンをみるとそこには一枚の置手紙。


『友人と海外旅行に行くから

夏の間は帰ってこないから。』

それだけだった。


溜息しか出ない。

仮にも養母としているはずの人間が未成年を放置して海外旅行。


常識で考えればあり得ない。

それでも翔としてはありがたい。

これで心置きなく廃人ゲーム出来るわけだ。




改めて荷物を持って階段を上る。

自室に戻り荷物を開けるとフルフェイスヘルメットのような機械が出てくる。

「…ごつくね?」

想像だともう少しスマートなものかと思ったのに実際手に取ってみると中世の甲冑の様に見える。

「これ…ほんとにあってるんだよな…?パッケージと若干違うっぽいけど…でも箱純正だよなぁ…」

箱には『ヴァールメット』と書かれている。

本体にも同じように『ヴァールメット』と書かれている。


ある意味ヘルメットで間違いなさそうだ。


「まあ、いいかゲームができりゃいいや。ダメなら返品交換したらいいだろ」


既に充電がされているようでソフトを中にいれる。

頭にかぶって動作開始させる。



顔の側面の電源を押すと視界一杯に部屋の中が映し出される。

どうやらカメラが存在するらしくそれでヘルメットを被っても室内が見えるようだ。


『………起動設定を確認

 ………空調システム良好。

 ヴァールメット動作確認をします。メインカメラに映る様に両手を前に出してください』

言われるままに両手を前に出す

すると手の形をスキャンをし始める。

『確認しました。ユーザー登録をします名前の登録をお願いします。

 第三者にヴァールメットが渡ってしまうと情報の漏えいなどの危険性がある為

 他者への貸し出し等は、控えていただくようお願いします。

 …

 ……

 ………大空オオゾラ カケル登録いたしました。

 このまま取り込み済みソフト『モンスターズクロニクルオンライン』起動してもよろしいですか?』


【はい】/いいえ



選択して起動する



『ではこれより意識をヴァールメットを介してフルダイブとなります。ゲームのプレイ時間管理が難しい方はアラート機能などを使うことをお勧めします。

また画面内部にリアルタイムを表示しますか?』



【はい】/いいえ


とにかく時間表示だけでいいのでアラートは無視。




『モンスターズクロニクルオンライン起動します』




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ