一章 使徒03 - グリフィン戦
異世界クラフト 一章 使徒03 - グリフィン戦
結局のところ、リィート一人で腹を空かせたグリフィンとばったり出くわしたりしたら、食べられるしかないということである。
もっとも、これが他の人間であったとしても、結果は変わらないだろうが。
ただし、俺は別だ。
実戦を試してみる機会になる。そのことも、俺がこの場所を選んだ理由の一つであった。
まずは移動だ。
歩いて行くとか走っていくとかいうのは論外だ。
到着する前にリィートが食べられてしまうことは確実だからだ。
グリフィンを斃すことも目的だが、リィートを手に入れることが一番の目的である。
それに、グリフィンを斃した瞬間を目撃してくれる者がいなくては張り合いというものがない。
誰にも自慢することができないからだ。
というわけで、俺はグリフィンの正面に転移する。
もちろんそこには、グリフィンがいた。
すぐ後ろにはリィート。
俺は、ちょうどその間に割って入った形だ。
背後にいるリィートの姿は見えなかったが、正面にいる巨体をもったグリフィンの方ははっきりと見てとることができる。
グリフィンは俺が突然出現しても、特に驚いた様子などなかった。
餌が増えたくらいには感じていたのかも知れないが、そんなことはどうでもいい。
グリフィンは特徴である鷲頭の嘴を大きく開き、有無を言わせず俺に襲いかかってくる。
だがそれは、すぐにというわけではない。
グリフィンがゆっくり襲ってくるわけではなく、俺のほうの認識速度が格段に上昇しているからそう感じるだけのことだ。
これは、俺の周囲の環境が戦闘モードになっていると判断した『ゴッド・マザー』による自動対応であった。
もちろん上昇しているのは認識速度だけではない。
行動速度ならびにパワーもそれに追随して上昇している。
もちろん、無制限にというわけではない。
一歩踏み出すたびに、大気圏を飛び出してしまうようなことにはなりたくないからだ。
今で言えば、グリフィンを圧倒できるくらいの強さにはなっている。
なので俺はグリフィンの嘴をさらりと交わして、懐に潜り込む。
技もなにもなく、単に移動しただけのことだがグリフィンには反応することすらできない。
この後、俺のやったことはライオンの形をしたグリフィンの胴体を、殴りつけることだ。
おもいっきりでなくていい、拳を握り固めて単純に前に突き出す。
すると衝撃波が周囲に広がりつつ、グリフィンの胴体を破砕した。
胴体の真ん中に大きな穴を空けられたグリフィンは即死状態となり、支える力を失った頭部が、俺の頭上へと落ちてくる。