二章 失われた歴史と未来と05 ― 宮廷魔術師
異世界クラフト 二章 失われた歴史と未来と05 ― 宮廷魔術師
こんなに他人の神経を逆なでするような、見た目美少女も珍しいだろう。
「ハジメさま。わたしがシメましょうか?」
美しい顔で微笑みながら、俺と一緒に歩いている美女が聞いてくる。
こっちはこっちで物騒だ。
「ほっとけばいい。今日は忙しくなるから、さっさと行くぞ」
俺とリィートは、おまけ美少女と一緒に朝食をすませる。
食堂を出た所でマップを確認して、リィートの従姉妹である宮廷魔術師がどこにいるのかを確認する。
すでにマーカーはセットしてあったので、見つけるのは簡単だ。
今は王宮の中にいるようであった。
俺は王宮の詳細が確認できるようになるまで拡大して、人の位置と視界がわかるように表示する。
これで転移位置の候補を絞り込めたけだが、問題はタイミングだ。
それを決めるために、まず俺はマーカーから概要を表示する。
種族はハイ・エルフ、名前の欄はティータとなっている。
リィートの話しと符号は一致しているので、本人であることは間違いない。
でも今はそこのところは重要ではない。
俺はさらに項目を飛ばして、未来から位置特定を選択、マップに表示にチェックを入れる。
すると、マーカーと同じ色をしたラインがマップ上に表示された。
この後、ティータが移動することになる動線を示している。
ただ、このままではまだ使えない。
動線は複雑な動きをしてはいるが、ほとんど広がってはおらず、その理由として縦の移動が考えられるからだ。
俺はマップを3D表示に切り替える。
すると、俺の推測通りに王宮内を下に移動していることがわかった。
ただ、推測と違ったのは、一階を超えてさらに下へと動線が伸びていたことだ。
かなり地中深くまで伸びており、終点位置で計測すると地下百メートルとなっている。
その位置には、百メートル平米ほどの広さを持った部屋があった。
興味が湧いたので、この部屋のことを調べると、どうやら古代エルフ族の遺産が封印されているらしい。
俺がデータとして知っている、エルフ族が高度な魔法文明を築いた当時の遺産のようだ。
さらに調べれば、詳しいこともわかるだろうが、今のところこれだけ分かれば十分だ。
それに、なんでハイ・エルフが人間の王に仕えているのかという素朴な疑問もこれで解けた。
そして、転移するべき位置も決定した。
さっきから、じっと俺の顔を見ている美女と見た目美少女をこれ以上待たせておくのはまずいだろう。
それぞれ、別な理由でまずいわけだが、その辺りにはあまり深く入りしたくない。
「よし、転移するぞ」
俺は言って、二人の手を掴んで、すぐに転移した。




