二章 失われた歴史と未来と03 ― ワケアリ美少女
異世界クラフト 二章 失われた歴史と未来と03 ― ワケアリ美少女
いきなり敬語になって、ひきつった笑みを浮かべ、説得力皆無な言い訳をはじめる。
これが漫画なら、額のあたりにたらりと汗が流れているタイプのコマ割りになっているだろう。
百人中二百人くらいが、絶対に怪しいと答えそうな勢いの怪しさであった。
命令して聞き出してもよかったが、もう少しスマートな方法を取ることにする。
シヴィラにマーカーをセットして、シヴィラのプロフィールを確認する。
すると、シヴィラの魔人国における行状が記載されていた。
それを見てみると、話したくない、あるいは話せない理由がよくわかる。
父親、すなわち魔族の王が戦いの時に使用する武具を、こいつは売り払っている。
魔力炉で作られた鉄を使い、魔法工房において、この惑星に一つしか存在していない賢者の石を使って精錬した、強大な魔力の込められた武具である。
それを大陸南方にいる趣味で武具を収集している大金持ちに、とんでもない金額で売っぱらったのだ。
それを知った魔族の王は激怒したが、こいつはとっくに姿をくらましており、手にした金で豪遊旅行の真っ最中であった。
その後、こいつは一年と経たずに手持ちの金をすべて使い切った。
金が無くなったこいつは、今度請け負ったようなヤバイ仕事を受けては金を稼ぎ、使い切るまで豪遊を続けるということを繰り返していたようだ。
さすがにこんな状況で、のこのこ帰ることができるわけがない。
偉そうに魔界の王女などと名乗ってはいるが、はっきり言ってこいつはただのクズである。
もしこいつの見た目が可愛くなければ、今すぐ魔人国に送りつけている所である。
ということであれば、逃げずに俺の下に留まっている理由だとて、どうせろくでもないものだろう。
まぁいい。
こいつのお里は知れたことだし、当面はほっとくことにする。
今日はこいつにかまっている暇はない。
「俺とリィートは飯を食いにいくが、お前も食いたければさっさと服を来てついてこい。いならければ好きにしろ。リィートいくぞ」
俺はそれだけ言うと、リィートと一緒に外に出た。
通りを歩いていると、後ろから美少女が追い越していき、俺たちの目の前で急停止する。
その場でクルリと振り返って、ビシッと指差して言う。
「シヴィラ参上。逃さないよっ!」
もちろん俺とリィートはそれを無視して歩き続ける。




