二章 失われた歴史と未来と01 ― 二人のベッド
異世界クラフト 二章 失われた歴史と未来と01 ― 二人のベッド
翌朝俺は、すっきりと目を覚ました。
同じベッドの上にはリィートがいる。
この状況で昨夜の出来事はおおよそさっしはつくと思うが、リィートが処女であったことは付け加えておこう。
とりあえず身を起こすと、リィートが挨拶をしてきた。
「おはようございます、ハジメさま」
朝の光を浴びたリィートの素肌が眩しい。
「おう」
俺はそんなリィートに軽く返事をかえす。
本音はリィートの裸体を思う存分眺めていたかったが、ここはビシっとかっこを付けたい。
それよりも、当面気になる問題点がけっこう身近に存在した。
「なぁ、リィート。あれはなんだ?」
俺が指差すと。
「魔族のプリンセス、シヴィラのようですね」
リィートは丁寧に説明してくれる。
だが、俺が聞きたいことは、そこではなかった。
「いや、そうではなくて、なぜあんな所で寝ているんだ?」
部屋の反対側に置かれたソファーの上で、気持ちよさそうに寝ている見た目女子中生。
しかも、シヴィラはなぜか全裸であった。
全裸であることについては、やぶさかではない。
だが、なぜ俺らの部屋にあいつがいるのか、ということに関しては見過ごせるようなものではない。
俺はあの後、宿に帰ったさいに宿と交渉して金塊を追加することで、わざわざ別の部屋をとってやっている。
もちろん、シヴィラ用である。
特に、その部屋で寝ろという命令はしていなかったので、朝起きたら姿を消しているかも知れないな、ということくらいには考えていた。
だが、それならそれで俺としては構わなかった。
リィートのように使徒にしたわけではない。ようするに行きずりの女のようなものだ。
一時的な関係が終われば、とっとといなくなってくれたほうがむしろありがたい。
部屋を取ったのは、貴重な情報を教えてくれた謝礼のつもりであった。
だが、しかし、俺とリィートのいる部屋にやってきて、あまつさえ我が物顔で、すやすやと爆睡するというのはあまりに発想が斜め上すぎて俺には予測がつかなかった。
それに関しては、リィートも俺と同様のようで、
「さぁ? 本人を起こして確認されますか?」
肩をすくめた後、そんな提案をしてきた。
「まずは服を着よう。裸じゃかっこがつかん。やつの始末はその後だ」
俺がそう判断を下すと。
「はい、ハジメさま。でも、もう少しだけこうしていたかったですけど……しかたありませんね」
リィートは残念そうにそう言った。
うーむ。
芸術作品めいた見た目の美しさからは想像つかないくらい可愛いやつである。
まぁ、それはともかく、今日はやることが多い、目先の問題はとっとと片付けよう。




