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異世界クラフト  作者: ぢたま
一章 使徒
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一章 使徒22 - リィートVSシヴィラ

異世界クラフト 一章 使徒22 - リィートVSシヴィラ


「なんのまぐれか知らねぇけど、あたいの力を舐めてんじゃねぇよ、エルフごときがぁ!」


 激昂した後、右手を動かすとそこにはマジック・ワンドが握られていた。

 すぐに情報が表示されて、魔力ブースターであることが確認できる。

 さらに左手には、魔力の光を宿したレイピアが握られており、威力が格段に増幅されている武器であることがわかる。

 そのマジック・レイピアを振るうと、空気が震え微かに帯電したようなスパークを発する。

 至近距離でリィートに斬りかかるが、リィートはその攻撃を右手の人差し指で受けていた。

 受けるたびに火花が散るが、ただそれだけでリィートにはまったくダメージが通らない。

 明らかに、魔族のプリンセスの肉体は人間やエルフのそれを遥かに凌駕しており、速さだでなく一撃一撃の力も格段に強力なものである。

 正直、この世界の人間でその攻撃を受けられるような者はめったにいないだろう。

 だが、今シヴィラが闘っている相手は、俺の第一使徒リィートである。

 ベースとなる基本値に桁違いの差が存在している。

 その気になれば、今すぐにでも決着はつくだろうが、俺が使徒としてのリィートの試験運用をしたがっていいるということと、できるだけ圧倒的な差を思い知らせる形でシヴィラに勝利させたがっていることを承知しているので、相当手を抜いているのだ。

 つまりそれは、シヴィラの容姿を俺が気に入ったということを、暗黙の了解的に承知しているということを意味しており、それはそれで少し恥ずかしい気はする。

 剣がまったく通用しないとわかると、シヴィラは全力で後ろに跳ねた。

 もちろん逃げ出すつもりはなく、強力な魔法を使うために間合いを確保したのだ。

 本来魔法の使い手であったリィートが、当然そのことに気づかないはずはないのだが、追撃をかけなかった。

 あえて、シヴィラに魔法を使わせるつもりなのだ。

 俺もその考えに賛成であった。

 シヴィラが自分のすべての力を出し尽くした後、それでも全く歯がたたない相手を前にしたとき、一体どういう態度にでるのか見てみたい。

 おそらく、俺のその気持を汲みとってくれているのだろう。


「まとめて消し飛べ!『ハイドロゲン・バースト』」


 シヴィラの言葉と同時に、リィートの目の前に小さな光点が出現した。

 それは起爆のためのコアだ。

 正確に言えば、極めて凝縮されたトリチウムの塊だ。

 シヴィラが使った魔法は、そのコアを使って核融合反応を起こそうというものである。


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