一章 使徒01 - 初めての異世界
異世界クラフト 一章 使徒01 - 初めての異世界
俺は今、異世界の地を踏みしめていた。
ここは見知らぬ土地ではない。
それどころか、非常に馴染み深い異世界の土地である。
この場所を訪れるために、俺がどれほどの観測を続けてきたのか思い出すだけでも気が遠くなりそうなほどだ。
だが、もちろん『スコープ』で観測していただけではない。
俺が『コズミック・スフィア』に干渉するために創りあげたシステムである、『ゴッド・マザー』の実験を行ってきたのもこの星である。
そして、俺はついに『ゲート』を創りだすことに成功し、こうやって直接自分の足で踏みしめることができた。
正確に言えば俺の足であってそうではないのだが、そんなことはどうだっていい。
俺自身の感覚として、その違いは存在していないからである。
今、俺の周囲には巨木が立ち並んでいる。
踝くらいまでとどくような丈の低い草が足元を覆い尽くしているが、歩きにくいということはない。
背の高い木々が空を覆い尽くしてはいるが、木漏れ日は十分に届いており視界は十分に確保できる。
俺は周囲を見渡しながら、視界内に重ねられているマップとのマッチングを確認する。
俺の視界はマップにも表示されており、視線を移動するとそれに追従してマップも変化する。
マップ表示のプロパティを設定して、動物表示を付け加えると、いくつかの色分けされたマーカーが表示される。
赤が危険度が高い動物で主に肉食動物だが、盗賊等もこれに分類される。
黄色がこちらが刺激すると危険な動物。草食動物の中でも牛やイノシシなどのような戦闘力の高い生物になるが、軍人や警邏官もこれに該当する。
そして最後は青色。これは、主に草食動物等で戦闘力の低い動物、ならび一般市民ということになる。
俺は、その中でも赤色のマーカーに注目する。
一番近いという条件で絞り込むと、マーカーは一つだけになり対象までの距離が表示される。
詳細表示に切り替えると、視界の一部に対象となった生物のリアルタイム映像が表示されるとともに、情報ライブラリが展開される。
俺はその中から概要を選択すると、対象となった生物がなんであるのか知ることができた。
種族はグリフィン。体長は約十メートルほどのオスで、年齢は百才。
現在は獲物を物色中で非常に飢えた状態にある。
この状況で、ちょうどいままさに、餌となりそうな生き物が近づいてきている。