一章 使徒09 - 使徒の力
異世界クラフト 一章 使徒09 - 使徒の力
「腰を落とし、両手を正面に突き出せ」
俺が指示をすると、リィートが俺の思い描いていた通りのポーズを取った。
どうやら、直接操作モードの動作に問題はないようだ。
「次に叫ぶ。『リンク、ゴッドモード』」
俺が指示すると。
「リンク、ゴッドモード!」
リィートが叫んでいた。
「さぁ、放て『メガクラッシュ』」
俺の言葉とほぼ同時に、リィートも叫ぶ。
「メガクラッシュ!!」
リィートが前に突き出した両手の正面に、白い球体が発生し直後に眩い光が前方の森を包んだ。
少しして光が消えると。
「こ、これは……」
リィートが呆然とした声を出している。
俺がコントロール下に置いているその肉体は、さっきと同じポーズをとったまましっかりと大地に立ってはいるが、その心はどかかに飛んでいってしまっているようだ。
それも無理ないだろう。
なにしろ、やらせた俺自身が驚いている。
森が消滅していた。
それだけではなく、足元からすぐ先が消滅しており、目測でいけば数百メートルはありそうな断崖絶壁となっている。
まるで直径が千メートル近くもある巨大な棒で地面を殴りつけたような形に、森が消えてしまった後の大地が形成されてしまっていた。
渓谷のようにも見えるが、こんな綺麗な形をした渓谷の存在を俺は知らない。
俺が、直接操作モードを解除すると、リィートはその場にへたりこんだ。
リィートの股間の辺りの地面に、水たまりのような物ができたが、見てみぬフリをする。
武士の情けというものだ。
俺もびっくりしたし。
「理解できたか? これが、俺の所有物になるということだ。二度と、奴隷なんぞと勘違いするな。そして、この光景を忘れるな。俺の所有物であるということを、常に意識するんだ」
俺がかなり見栄をはって偉そうに言ってやると。
「はい、はい、わかりました……。このリィート、ハジメさまの言葉を心に深く刻みます」
リィートは地面にへたりこんだまま、さっきまでとはうってかわった従順さを示しながら俺にそう言った。
「まずは、立て。俺の前だから良かったが、他の者の前でへたり込むような無様なマネはするな。俺の所有物であるお前が、俺の名誉に関わるような行動をとることは絶対にゆるさん」
俺はリィートの腕を取り、引っ張りあげなから警告する。
なにしろ俺は、究極のええかっこしいなのだ。




