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TUNIC 企画参加作品

ストレイト・ストーリー~孤独堂伝記より抜粋~

架空の連載孤独堂伝記より一話抜粋という設定です。特殊な大工である孤独堂が、行く先々に合う人々との交流を描いた連載小説というてい。

「ほほう…これはまた…」

 作業服の出で立ちで、しかしこじゃれたワンポイントが特徴的であるダンディな中年は眺めあげていた。

「立派なお屋敷ではないですか?」

 例えばネックレス、深みのある色彩…数々の石が数珠つなぎに並んでいる、ひと目で十色以上と判るいかにもアジア民族風の装飾品だった。そのような物が作業服の合間合間を縫うように飾られている。

 

 青年は返答する代わりに別の話題を持ちかけた。

「風変わりな格好ですね?いま業界では流行っているのですか」

 突然の方向転換にひるむどころか平生さを保ったまま中年はあいの手をいれる。その質問ならまるで慣れっこであるといったような感じだ。

「ええ、このような格好は中々真似ている奴はいないでしょうね、機械に巻き込まれでもしたら大変だ」

「じゃあ、何故?」

「私は特別な大工だから…」

 青年は確信していた、まだ二十代前半であろうこの立派な館の持ち主が、内装のリフォームの業者に彼をわざわざ選んだことが正解だったと。

「こんな洋館が残っているとは驚きです」

「いいえ、中身はそうでもありませんよ、気に入っているのは外観ばかりで…それはそうと、大工さん、この辺りでは僭越ながら誰もが知るほどの豪邸だと言われていますが」

「ええ…私は流れの大工、この辺りは勿論知ってはいましたがこのお屋敷についてはさっぱりです」

「流れの大工!」

 青年は彼の父の死を機にリフォームを考えていた、その為の業者を腕のいい大工の友人に頼むつもりだった、しかし小規模でありながら評判の良い彼の会社の予定は詰まっていた、待ってくれるのなら自分たちがやってもいいが、最も腕の良い職人を知っているからと紹介され訪れてきたのがこの中年だった。会社を構えず、行く先々の地元民を雇って、彼はこれまでの優れた仕事の数々を成し遂げていったのだという。

「まあ自由気ままですか、私は我流のデザインしかやれません、それに工期はだいぶ長くなってしまいますがそれが条件です、飲んでいただけなければ私はここを去りましょう」

「いいえ…」

 青年は直感に従っていた、このミステリアスな中年に頼めばきっとうまくいく、そう思ったから。


「ほうヒッコリー…」

 中年はひと目で統一された家具の木質を言い当てていた。

「へえ…凄い、わかるのですか」

「誰が見たって一目瞭然ですよ、それにしても中身も立派ではありませんか?」

「いいえ…」

 青年はしばらく口を閉ざしてしまった。表情が曇る、中年は気に触ることを尋ねたかと考えたが、しかし気にしているほどではなかった。

「これは全部父の趣味ですよ、ちっとも良くなんかはない。僕は内装をもっと現代的にやり変えたいと考えていますから…」

「しかし…それではこれらの素晴らしい家具には合わなくなります」

 劣化しているとはいえ、洋館の中身はそれでも立派であった、そしてクラシカルな家具はしっくりとそこへ収まっているのだった。

「家具は全て売り払う予定です、当てがありますから、そして工賃に回しますよ」

「それは勿体無い、考え直したらいかがです?無理強いはしません、それに、あなたは例え資産家であるとは言え私は他より工賃を余計に頂きます、これらを売り払えば十分な足しにはなると思われますので」

「ええ。支払いは確実に、それも込みであなたに頼みたいです、しかし内装は私の要求を飲んでいただきたい部分もありますよ」

 青年は物腰柔らかかった、しかしこの時ばかりは語気が強かった。

 対して中年の方は内装と家具を含めて今のこの洋館の全てを気に入っていた、青年には考え直して欲しいような気さえしていた。


「実は、この館は始めは祖父の物でした。僕はじいちゃんっ子でしたからとてもこの家には思い入れがありまして、しかし祖父はとても流れ者で、別の家庭もいくつか持っているような自由人でもありました、結局会社を受け継いだ父が祖父を追い出すカタチとなったのですよ。そしてまるで違った家具でこの家を染め、そして最近祖父より先に死んでしまった」

「お若くして亡くなられたのですね、お気の毒です」

「いいえ、僕は余り父は好きではありませんでした。資産はたっぷり遺されましたが、会社は倒産しました。経営が傾き父は逃げたんです、つまり自殺したんです」

「……」

「いいんです、ショックは受けませんでしたよ。僕はまだ大学生ですが、普通に就職して生きていく予定です、ただひとつ、遺された資産を使い切ってまでもリフォームをやってしまいたいのですから」

「…わかりました。腹を割りますと私はこの内装を家具ともども大変気に入っていますよ。ひとつも変えたくないくらいだ、しかしあなたにはただならぬ意志があって、それは曲げ様のできない気がしています。よければ理由をお聞かせ願いたい」

「ええ解りました」


 青年は中年を庭へと案内した、台所から紅茶のポットが持ち出され、美しいカップに注がれた。

「このカップは祖父の物でした。僕と父が余り仲が良くないように、父と祖父も反りが合わないようでした。会社が大きくなるにつれ、父は祖父の持ち物をひとつづつ売り払っていったのです、僕はそれが悔しかった、僕は自部屋にこのカップを隠し持っていました、それで無事でしたがもう他は姿かたちもありません」

「あなたには残念でしたね、しかし別の家庭を持つくらいの自由人ならばやはり、実の父としては良くない感情を持たれても仕方がない」

「それは解りますよ。しかし、僕の父だってそれは大差ありません、いくつか不倫をしていたようですし」

「それではあなたも、奥様も悲しい思いをされたのですね」 

「いえ、僕はビクともしないです、なぜだかそういうふうで大きくなりましたよ。しかし、母はやはり心労を重ねた結果病気で早死してしましました」

 

 中年は再び無言になった、青年に深く根ざした怒りの感情はそれであったのかと直覚していたのだ。

「不幸は人それぞれですから、しかし怒りの感情は時々沸いてしまう。人間とは弱いモノですね?」

 中年はそれでも答えない。

「でも…僕は最近父が死んでほっとしているんです、父は僕の人生を覆った巨大な影でした。確かに威厳もありました、しかし、それとは別の何かの理由で僕は父とは面と向かって居られなかった、ものの十分さえ…」

 

 雲が太陽を遮った、そして再び柔らかい日差しが降りている。美しい庭だった、よく手入れのされた洋式の庭園で、自然と幾何学的造形が調和されてあった。

「父が死んで、僕はこの家をリフォームしようと決意したんです。それは父の幻影を破ることでもあります、しかしそれとは違った理由のわからない理由が隠されていました、始めはそれが何か解らなかったのですが、しかし最近になってやっと思い当たりました」

「…そうでしたか」

 中年がようやく口を開く、風がそよいだ、澄み切った心地よい風だった。

「それで、その理由とは?」

「ええ。祖父です」

「祖父…あなたのお爺さま?」

「この館は知らなかったが、あなたは祖父の名を聞けばピンとくるでしょう、かなり有名な人物ですから」

「へえ…」

「ロジャー・ストレイト」

「えっ」

 中年の想像力は一挙に解放されていった、ストレイト…彼は軍人でありながら献身的な医者でもあって敵国であるこの国の民を数々救った。教科書に乗るような偉人である。

「では…」

「本物ですよ、本物のロジャー・ストレイトです」


 戦争から50年たった今でも、彼の名は国中に美談の張本人として知れ渡っていた。しかし、その行方を正確に知る者は誰ひとりとしていなかったのだ。

「…健在なのでしょうか…彼は?」

「…ええ、きっと…」

「そうですか。確実ではないがまだ健在であると信じている」

「そう、信じているに過ぎない」

 青年はぐいと紅茶を飲み干していた。中年はまたしばらく夢想に捕らわれ始めていた、ロジャー・ストレイトと言ったらこの地方に住んでいたという記録は彼の認識ではなかった、この土地とは全く結びつかない人物との不意の遭遇が、それらのイメージをより異質に際立たせていくのだ。

「それで…ストレイト氏とリフォームがどういう理屈で引き合うのでしょう?」

「はい。祖父は確かにこの館の持ち主であり、住んでいたという記憶があります。しかし、生前の母に聞いても父に聞いてもその話をはぐらかすばかりだったのです」

「あなたの記憶違いでは?」

「ええ、確かにはじめの頃はそう聞かされ続けた。それでも記憶がハッキリと根ざしていたから」

「う~ん、微妙な話だ。まあさて置き、それがリフォームと…」

 中年は話を急いだ、答えが気になっていたのだ。ややもすると青年の話は途切れ途切れで、しかも横道に逸れやすかった。これでは話も終わらぬうちに日が暮れてしまうだろう、外は少し冷え込んでいた。


 寒くなったからと再び館内へと案内された、暖炉が焚かれる、やはり、中年はこの素晴らしい内装をやり変えることに躊躇いを感じている。

「お腹が減ったでしょう、少し食事でもしていきませんか?」

 中年は断りを入れたが、しかし懇願する青年と、先を知りたい好奇心に押されて腹ごしらえをすることに決めた。

 食事を摂りながら話は続いていった。料理は美味かった、洋館には似合わないこの国元来の食事ではあったが、毎日自炊していることが見て取れる、それは立派なものだった。

「ふう~美味かった」

「いえいえ」

「…それで、ストレイト氏がリフォームを要請しているということなのですね」

 興味深い話だった、彼は二十年近く前ほどにもなる遠い記憶を未だ鮮明に保持していて、しかしそれが想像上のものであるか本当の記憶かがハッキリはしていない。そして祖父が住んでいたというその漠然としたイメージは日に日に存在感を増していったという。ありありと祖父の面影や体温や声が思い浮かぶのだとも。彼の父や母が言うにはそれは遊びに行った時の記憶と混同しているのだ、ということだけれども、しかしそれでは父が祖父を追い出したというその確執とは相容れなくなってしまうのだ。

 そして彼の父が死んだ後のある夜、彼は金縛りに遭い、そして祖父に久しぶりに邂逅したのだという。それはとても非現実的な話であった。しかし青年が主張するには、とてもリアルな存在感を持っていたのだという。


「ということはあなたはその時リフォームの件を思い出された?」

「ええ…その時祖父が言ったわけではありませんがね。その時祖父が言ったこと、それは今なお祖父が生きているよ、というメッセージひとつでした」 


「それにしたって、それは夢か幻覚に過ぎないでしょう?あなたはそれを信じているとでも?」

「ええ…勿論それは夢か幻覚だったのでしょう…しかし…メッセージの内容だけは信じている」

「……」

 青年は表情ひとつ変えずに強い意志を容貌に宿らせている。

「メッセージの内容をねえ…」

 中年は不思議と青年の力強い発語に、なぜだか真実味を見出そうとしている只中だった。理屈を越えた不思議な力が館内を囲んでいるような気さえしていた。

「まあいい、それでリフォームをしようというわけですね。だからこそ現代風に。もしあなたの記憶が確かだと仮定して、実際お爺さまが現代風の部屋を希望していたという話は確実なのですか?」

「それは…解りません」

「そりゃあ解らないさ、そうではなく、その…あなたがハッキリ記憶していたのですか?と訊いているんですよ」

「ええ…それは、五分五分ですね?」

「じゃあ…なぜ…」

 やはり中年の意志が収まらずにいた、このように、時々沸き起こるように。中年は青年が思い違いをしていて、それゆえに無意味なリフォームを取りやめにして欲しい、という気持ちが…この空間で過ごせば過ごすほどに、この洋館の内装も家具も、増々気に入って行ったのである。

「いずれにしても、リフォームはお願いしますよ、父の揃えた家具は全てなくなってしまいますから、だからこそ、それに似合う内装でなければなりませんから…」

 青年が譲らなかった。

「しかし、やるもやらぬも私に決定権はある、我流を貫くとは初めに言ってあったはずですから。私は流れの大工ですので」

 青年が急に立ち上がる。

 部屋の奥へと消えていった、中年は客人として少し一線を越えてしまったかと反省する。青年が帰ってくる。

 ニッコリと笑みを浮かべて。とても清々しい、若々しい笑顔だった。それを見て中年はほっと胸を撫で下ろす。

「職人のこだわりとは言え、客人として出過ぎた真似をしてしまいました、すいません」

「何をいうんです、酒でも飲みましょう?」

 とくとく、とロゼのワインが注がれる、ふたりはグラスを飾るローズピンクの液体と、そのあぶくを見詰めている。

「あなたは職人だ、しかも世にも珍しい流れの大工…こだわりがあったら僕の反論など掃き捨ててもらっても結構ですよ、ただ、あなたがやらないというのなら、僕の方もお断りするかもしれませんがね…」

「結果は同じだ…まいったな、流れの大工として、このようなケースは初めてだよ。皆が皆私の闇に轟いた名前を有り難がって鵜呑みにするものだからね?私はただいつも同じようにやっているだけなんです、しかし、私すら知らぬ間に、名前のほうがより大きくなってしまっていた。ひとりでやる分効率も悪けりゃ経費も余計にかさばる、始めは良心的な値段でやっていたが日に日にやりたいことも大きくなっていき、値段は釣り上がる一方でしたよ。それでも、名前が大きくなった分、出し惜しみするお客さんなんて何処にもいませんでしたからね…やるといったらやる、そして、払えない仕事は頂かない、そういう主義が染み付いたものです、お客にも、私自身にも…しかし、あなたのような若い人が…いえ、若いからこそ眼に見えない付加価値何かには惑わされずに純粋に意志だけを主張できるのでしょうね?この歳になり、久しぶりに勉強をさせてもらっていますよ」


 ふたりはほろ酔いで、楽しい夜を過ごしていた。

「少し外に出て風でも浴びませんか?酔を覚ましましょう」

「ええ…そうしましょうか」

 中年は言われるままに従った。もう夜も更けて中年は眠たかった。随分と話し込んで、しかしとても気分が良い夜を久しぶりに過ごすものだと思っていた。


「ううっ、冷えますね…心地いい…」

「ええ…一気に醒めましたよ…」

 始めはブルブルと震えていたが、不思議と段々慣れていった。月や星が出ている…

「美しい空ですね?」

「ええ…しかし、もっと綺麗な夜空だってありますよ。ここは割に田舎です、しかしそれでもまばらに民家などはあります、やはり夜遅いとはいえ光が漏れていますね。そのせいで夜空の光は遮られてしまう」

 中年が過ごした少年時代確かに星空は今より美しく輝いていた、しかしそれは遥か遠い昔話で、この夜眺める星空は、充分過ぎるほど眩い星空に違いなかった…街や車が溢れかえる現代の夜空としては…


「実は何より話さねばならない事を言いそびれていましたよ…」

 中年は青年を見た。月が青年の顔を照らす、その結果幻想的な存在に思わせる気配を増していた。

「祖父の話について…」

 中年が相槌を打つ間もなく青年は話を立て続けに続けていく。

「祖父が僕の枕元に立ったその時。祖父はただ生きているとだけ僕に伝えました。しかし、僕はそれから翌朝の目覚めまでの間、久々に思い出した祖父のイメージに包まれていて、ずっと夢現を続けていきました。それはとても穏やかで美しい瞬間の連続だった。そして不思議な事が更に起こった。僕はまるで、幽体離脱でもしてしまったかのような経験をするのですから。魂だけが外界へとさ迷っていきました。そして久しぶりに祖父に逢ったばかりでしたから、僕は迷わず祖父に逢いに行こうと思ったのです…もう一度…ね?」

「そんな…」

「…ええ、そんな馬鹿な話もあるものですよ。しっかりとした記憶の中ではね?」

「まるで、あなたがお爺さまの記憶を幼少期に持たれていたのと同じような感覚ではないですか?」

「はい、正しく。だからこそ、例え嘘であっても僕には本当にしか思えません。事実がどうであれ、真実です」

「……」

 中年は口を閉ざした。職人ゆえに気難しい部分も持ち合わせた彼が、しかしこの青年にはついつい押されてしまう。不思議な、強い力を持つ青年であると思った。それは自然を超えた精神的スピリチュアルな気配だった。

「逢いに行きませんか?」

「…えっ?」

「実際、逢いに行ってみませんか?あなたの話しぶりから察するに、恐らく、その精神飛行によって探し出したんだと思ったからです」

「……」

 とうとう青年が口を閉ざしてしまった。中年の機転が、青年の勢いを上回った瞬間だった。



 朝…

 青年は中年の宿泊した客室へと向かった。

 風…窓が開け放たれている、中年は既に起きていた。

「お早いのですね?」

「ええ、勿論」

 まだ明け方過ぎであった、青年は思い立ったかのように中年の元へと勢い込んだのである、無礼を承知で止められない想いが溢れ返ったから…

「私は職人です。朝が早いのが一番の仕事ですから…」

 中年が笑っている、しかし、切なさが次々溢れて青年は中年へと迫るばかりだった。

「すいません…昨夜は…急に話を遮ってしまって…」

 中年はじっと眼を見詰めていた、青年は真剣な眼差しでそれに返した。

「戸惑ってしまったんです、お詫びします。僕が長い間ずっと考えていたことをまさか他人の口から聞くなんて思っても見ないことで…面食らってしまって…」

 青年の正直さに中年は感慨を受けていた。

「実は僕の中ではいつまでも答えが出せずにいたことなんです…」

 中年は穏やかに見詰めていた。

「今朝飛び起きました。途端、答えが出ていました、僕が夢想しながらしかし逃げ続けていた真実に、あなたが、そっと背を押してくれたから…ええ、行きます、行きたいです、祖父の元へと!」

「そうですか!なら是非、私も同行させては頂けませんか?」

「ええ…勿論そのつもりでしたから…こちらからお願いします」 

「私のトラックを使って下さい、運転は私が…」

「…ええ…しかし、僕が運転して行きたいんです…」

「…そうですか、ならそうしましょう!」

「しかし…僕は自動車の免許を持っていません」

「…なら…」

「バイクの免許ならあります。そしてサイドカー付きのバイクも。速度はあまり出せませんが、しかしぼちぼち気長に行ければいいんです。工期が遅くなってしまいますが、構わないでしょうか?」

 中年の気持ちは固まっていた、もしかして、青年の向かう先に青年の祖父である老人が、有名なストレイト氏が、生きているのだとしたら。

 そしたらきっと、その老人は、中年に向かってリフォームの件について事細かに指示を出してくれるに違いない。それは中年のいつものやり方でも、中年が好んだこの洋館の内装を維持することでもなかったが、ストレイト氏の要望ならば例えどのような条件でもすんなり受け入れることが出来る気がしていた。

「祖父の住むであろうその場所は、とてもひなびた土地でした。そこでは夜、いにしえからの眩い星空がきっと広がっていることでしょう…」 


 旅立ちの朝だった、ひとりの青年とひとりの中年がひとりの老人を探しゆく旅…それは嘗ての青年の精神の旅の再現…

 真っ直ぐな道をサイドカーが駆けていく…地平線すら見えている何もない景色と青空…絶景だった。この地平線の先に…?

 バイクに跨がる青年と、隣に座る中年の伸ばす真っ直ぐなふたつの視線の先に、白昼でありながら、太陽よりも燦燦とした無数の星空が広がっていて、不思議とふたりはそれらを受け入れているのであった。

ありがとうございました。いい経験をさせて頂きました。

もうこのようなどストレートな作品は生涯書かないでしょう。だからこそ、こうして書いた事はひとつの経験となって将来の自信としてボクの中に息づいて行くことだと思います。

孤独堂さんはひと目でお気づきかと思いますけど、変速監督リンチのストレイトストーリーに完全になぞらえております、スピードの出せない乗り物で遠くを目指すという設定ありきでその推進力で書きましたから、孤独堂さんと、敬愛するリンチに感謝したいと思います。おふたり、ありがとうございました。

ゆめぜっと

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