7日、七草。
「てーぬーきーだー111」
デジャビュかな?最近同じ文字列を見た気がする。
「はっぱしかはいってない」
すっかり空にしているくせに、器を叩きつつ断固抗議の構えである。
「えっとね、七草がゆって言ってね、本日1月7日は年末年始と暴飲暴食寝正月で負担をかけた胃を労わってあげるの」
かぐやが見上げてくる。どうやらお疑いのご様子。
「セリナズナ ゴギョウハコベラ ホトケノザ スズナスズシロ 春の七草~♪」
百人一首のように言ってみる。同僚からすすめられた「ち○やふる」というアニメを正月中に見た影響だろう。おおよそ50話×2シーズンというのは普段テレビを見ない性の私にはキツかったのだけれど。
日本のアニメが人気なのは知っていたが、とても繊細な出来で、あれが娯楽だというのが恐ろしい。百人1首に興味深々であったが、流石に一人で・・・一人と一匹でするわけにもいかなかった。
友人兼同僚との会話を思い出してみれば、
「マイナーな分野を部活としてスポットライトを当てた作品が好きなんです。薙刀とかお箏とか三味線とか。あ、わかりますか?」
作品という意味なら分からないが、三味線、お箏、薙刀なら知っていた。
「[春の海]とかですよね。お正月ならCMとかで聞く機会もあるでしょう」
「春の海ですか?えーっと。」
研究所のパソコンで調べ始める姿勢には苦笑するしかない。
「あーこれですか。曲名知らなかったです。よくご存知ですね?」
私は外見は完全に外国人だが、とびっきりの日本びいきである。
もっとも、周囲の人間には、私が日本人らしくあろうと、無理をしている外国人に見えているのだが知らぬは本人ばかりである。
---話は戻り、
「かぐやはお酒こそ飲んでないけど、年末からこのかた食べすぎですよ。コタツでゴロゴロしてばかりですし。あんまり太ってお腹を地面に擦って歩くようになっても知りませんよ」
思い当たる節があるのか---実際になったら肩に乗られたりしたら困る---ぐむむと悩んでしまった彼の切なげな様子に、ため息をつきつつちび切れのハムを置いてやる。
「これ以上は無しですよ?」
彼の表情がパッと明るくなる。
体の大きさも違うし、彼のごはんの味付けは塩分・糖分控えめにしているが、私の彼への態度はちょっと甘すぎるかもしれない。
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