必ず倒す!!
今日はいつもより筆が進んだ山石悠です。
今回は思い付きではありますが、しっかり考えてみた話です。
今回は長谷川君の復讐劇。長谷川君は松田を倒せるのか?二人の運命は?
……という感じです。今回の話は自分の考えられるもので、一番良かったかな?と思えるものです。
それではお楽しみください。
フフッ、準備は完璧だ。あとは実行に移すだけ。
俺はニヤニヤしながら奴を待つ。じっとしながらも手に持っている花火や爆竹の用意もできている。いつでも点火できるのだ。
しばらくしていると、奴はやってきた。フフ、何にもないかのような顔ができるのも今のうちだ。もうすぐ奴の顔は驚きと恐怖に染まるのだ!! ハハハ、まだ何もしてないのに嬉しくなってしまった。
そういえば俺が何をしているか誰にも分からなくなってるな。なので、諸君らにも俺様、長谷川辰巳様が説明してやろう。
俺がこれからしようとしているのは一言でいえば復讐だ。ターゲットはあの憎くて憎くてたまらない国語教師の松田だ。
奴は俺たちの学年の国語を教えている。体育教師ではないのかと思いそうな体。そして、忘れ物にものすごく厳しいというのが奴の特徴だ。
俺は一度奴のお仕置きという名の拷問を受けたことがある。あれは思い出すだけでも震えが止まらなくなる。その拷問に加えて反省文まで書かされた。
……ということがあってから、俺は奴のブラックリスト入りをしてしまったらしい。よく俺があてられるようになってしまった。これではおちおち寝ていられない。だが、そのおかげで国語の点数が上がったので、何とも言えない。
そんなある日、俺はとあることを思いついた。そうだ! 復讐をしよう。奴をボコボコにすれば元の生活が戻ってくるのだと。
そう思った俺の準備ははやかった。あっという間に計画を立て、そのために使う道具の準備も完璧にした。そして、今この場で松田をボコボコにしようとはっているわけである。
この場は学校のとある人通りの少ない廊下だ。俺は数日かけて松田の行動パターンを調べ上げ、分析したのだ。このおかげで、理科の観察で誰も見つけられなかったものを見つけられたのは本当に余談だ。
……と、おしゃべりはこのくらいにしよう。俺は松田の後ろ十メートルぐらいの位置を保って追いかけている。手には打ち上げ花火、爆竹、ねずみ花火……などなど、人に向けてはいけませんといわれるようなものを手に持っている。ついでにいつでも点火できる用意はしている。
俺はタイミングを見てじっと待つ。そろそろ、起爆ポイントの渡り廊下とぶつかるところに来る。
俺はカウントダウンを始める。きっと今の俺は笑っているだろう。なんといっても今日はあの松田の最後の日になるのだから。
十、九、八、七、六
じっとりと手に汗が浮かんでくる。松田はまだ俺に気がつかない。俺は声をあげそうになるのをこらえて続きをカウントする。
五、四、三、二
俺は地面に打ち上げ花火をセットして他の物も構える。そして、最後の二つをカウントする。
一、零
発射!
大きな音を立てて、花火たちが飛んでいく。俺は素早く渡り廊下に飛び込んで様子をうかがう。
松田の声が聞こえない。奴はどうしたのだろうか?もしや、逃げられた?
俺の中で浮かんだ疑問はその松田によって答えられた。
「おい、長谷川。なんの用事かと思ってじっと待っていたが、まさかこんなことをするために俺をつけていたとはな」
花火が収まって煙や光が止んだ。その煙や光の中から松田はその姿を現した。
俺はその姿を見て凍りついた。なぜなら、奴は全くダメージを受けていなかったからだ。声すらも上げなかったあたり、怖がることも驚くこともしなかったのだろう。
「なあ、長谷川。はっきり答えてはくれないか? この数週間、お前はまじめに生活していたから、懲りたのだと思っていたが、実際はこれをするためにおとなしくしていたのか?」
俺は「どうしよう、どうしよう」と慌てふためきながらこれからの行動を考える。そして、この状態で俺は二つの案を思いついた。
その案とは……
・おとなしく白状して説教される。………嫌だ、俺は絶対松田になんかに屈しない! この案は却下だ!
・残っているものを使って逃亡する。………これだ! これで奴を倒してしまえばいいのだ。
俺は松田の前に出て言ってやった。
「ハッ! 捕まえれるもんなら捕まえてみやがれ。トン松田!」
俺はできる限りの罵倒をして走り出した。念のために言っとくが「トン松田」は罵倒の言葉である「トンマ」と奴の名前の「松田」を合わせたものだ。
ちらりと後ろを見やるが、松田はいつだったかのように鬼か修羅のように切れていた。そして、本当に国語教師か疑問に思うほどのスピードで俺を追いかける。
「待てええええ!!!! 長谷川あああああああああ!!!!」
「どこに待つ馬鹿がいるか! そんなことも分からんとはホントにトン松田はぴったりなあだ名だ!!」
俺と松田は学校中を走り回る。多くの生徒がこちらを見るがそんなことは気にしない。俺は角を曲がりまくったり、窓(一階)から跳んで逃げた。
だが、松田も俺に対抗して来る。つまりは先回りをしたり、窓(二階や三階でも)を跳んでくる。
あれは本当に人間なのか!? という俺の疑問に答える人間は一人もいない。俺は孤独に学校という名の戦場を駆け抜けた。
しばらくして松田の気配が無くなった。武器もなくなったし次見つかったら終わりだ。俺はひやひやしながら移動する。
「おう、長谷川。鬼ごっこはおまえの負けだ」
いきなり背後から聞こえた言葉に驚いた。そして、逃げ出そうとするが体をがっちり押さえられて逃げられない。俺は松田につかまってしまった。そして松田が俺に言ったのは………
「長谷川。今日はもう授業は受けんでいいぞ。だが、その分俺と二人っきりで話し合おうじゃないか」
………死刑宣告だった。俺は一切の抵抗ができないまま生活指導室に入った。
「長谷川。今回は俺の話を聞きながら反省文を書かせてやろう。ほら、はやく書き始めろ。……それでお前は一体何がしたかったんだ? おい長谷川? 聞いてるか?……」
今回の補習は本当にきつい。なぜなら話を聞きながら反省文を書かせるのだ。いっぺんにできていいなんてもんじゃない。
話を聞かないと無理やり自分の方を向かせて何を言ってたか言わせる。逆に反省文を書いていないとはやく書けと書かせる。つまり、どっちかだけではなく両方をいっぺんにできないと終わらないのだ。更に今回は、俺が反省文(八十枚)を書き終わるまでなのだ。地獄だ。ここはあの世だ。俺は始めの三十分以降の記憶がない。
俺は地獄の補習を五時間かけて終わらせた。ついでに言うと、帰ってから母さんの雷が落ちた。これで今まで頑張っておとなしくしていたせいかも無くなった。
最後にかなり余談だが愚痴のつもりで全部言わせてもらう。
俺はあの補習のおかげか同時思考が可能になりテストの点数が上がった。そのせいでちょくちょくマツダ以外の教師に「長谷川、今日は何もないのか?」といたずらをしないのかと聞かれるようになった。
そしてあの後の期末テスト。俺は松田の補習によって手に入れた同時思考によって全教科の点数が上がり、学年で三十位になった。
このことがあってから、松田にいたずらを仕掛けて頭を良くしようという生徒が現れたらしい。だが、効果はなかったらしい。噂によると俺にだけは特別メニューなんだそうだ。
当たり前だ。頭がよくなりたかったら勉強しろという話なのだ。それに松田を倒すのは俺なのだ。他の誰にもさせない。
………ということで最近はいたずらをする生徒をいたずらで倒していくことにした。お陰で、いたずらをする生徒が減り、校内の風紀が良くなった。
そして、教師たちに褒められるという優等生みたいな立場に来てしまった。
本当にこの学校の人間は分からない。だが、面白いのでよしとしよう。
俺はこうしながら今日も松田の暗殺計画(誤字に非ず)を立てるのだった。
どうでしたか?
意外におかしい学校の人々。それに同時思考ができるようになった長谷川君。……なんだか、普通じゃなくなっていく。
それでは、次に出す話も読んでくれる方がいたら嬉しいです。
See you next time!