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メモ 社会の闇

 表があれば裏があり、光ある所に闇があるのは必然。おおむね上手く回っている世界においても、暗い部分は出てくるものです。

 顕著な例を挙げますと、犯罪者ギルドです。

 犯罪者ギルドの成立は四〇〇年ぐらい前と言われています。それまでは個々の組織単位(マフィアや過激派など)で運営されていたのですが、魔法使いの王国崩壊の作戦を遂行するに当たり、彼らも団結することになりました。それが、犯罪者ギルドの前身です。

 王国崩壊後、彼らはギルドを正式に起ち上げました。とはいえ、犯罪者などは我の強い、協調性の欠ける者たちばかりです。ですので、当初はギルドが乱立された状態で、組織単位で活動していたときと大差はなかったようです。

 それが今のように、最大規模のギルド一つと、少数の弱小ギルドという形になったのは一五〇年前の魔王事変の頃です。

 当時、世界は争乱に包まれ表社会も裏社会も、それこそ世界中が浮き足立った状態でした。そんなときにとある中堅ギルドが、ほとんどのギルドを吸収し、大きく急成長を遂げました。そのギルドは『狂人マドマンズ・チェア』(通称、チェア)と呼ばれ、社会の闇・裏社会とはこのギルドのことを指すと言っても過言ではありません。


 さて、そんなイリーガルな組織はどのような事業を行っているのかと言いますと。

・依頼の斡旋

・ランク付け

・情報共有

・新技術開発

 また、このほかにもギルド員を監視する部署などもあり、『掟』に背いた者を粛正したりもしているようです。公にされていませんが、表社会のギルドにもあります。

 このようにギルドとしてしっかりとした形をとっていることから、ランク付けは犯罪者はもちろん、一般人からも大きな意味を持ちます。チェアに所属する者は一万人を超える言われていますが、その中でランク付けされているのは五〇〇位まで。個人・組織の区別なく上位五〇〇位は『階梯位階ナンバリングホルダー』(通称、ホルダー)と呼ばれ、恐れられています。

 ホルダーは完全に実力主義ですので、冒険者ギルドのように、ある程度の実績があればそのクラスに留まれるというものではありません。常に向上し続けなければ、位階はどんどん落ちていくこととなります。

 また、表社会からの慣例ですが『名乗り』があります。

 これはその名の通り、名を名乗り正体を明かすことです。犯罪者なのでデメリットが付きまとう行為ですが、それ故に絶対の自信を持って成し遂げるという宣言のようなものです。元は己の技量と名誉を懸けた決闘の作法だったのですが、『二つ名』共々取り入れられることとなりました。

 自分と相手しかいない状況ならば省略されますが、誰か一人でも見ている者がいたら名乗りを上げ誇示する。そうすることによる売名行為です。

 先にも言いましたが、デメリット、要は犯罪者が目立ってどうする? という問題ですが、逆に虚栄心や優越感を満たすという側面もあるようです。名前に箔がつく、というやつでしょう。

 そんな自己顕示欲を満たし、畏敬の念が込められる二つの制度は、悪い意味で世界に通用します。

 世界最大の犯罪者ギルド、チェアのホルダー。その中でも上位の者だけが名乗れる、二つ名。その存在は、冒険者ギルドのAクラス以上に相当すると言われ、まさに犯罪者の究極です。

 そうそう出会うことはないでしょうが、もし出会うことがあれば、それがどのような種の犯罪者であれ、即座に逃げるように世界各国から警告されています。


 折角ですので『二つ名』についても触れておきましょう。

 表社会、冒険者ギルドの上位勢などもそうなのですが、二つ名が共有されることはありません。一時期に同じ二つ名を複数人が名乗ることはなく、同種の力を持っていても、優秀な者に名を与えられます。その為、二つ名を巡っての諍いなども起こることがあるのですが、ギルドに決闘の申請をすれば優劣の審査が行えるので、取り立てて問題視されることはありません。

 逆に、新規の二つ名は手続きが難しく、審査も厳しいものとなります。

 申請者の経歴に始まり、過去の二つ名と重複していないか。重複しているなら、空位か否か。有している力がその名に相応しいか。二つ名を名乗れるレベルにあるのか、等々。数え上げることはできても、それをするのが面倒くさいほど沢山の項目があります。

 その他にも、ギルド発行の二つ名以外にも、国家発行のもの。殿堂入りとなっている二つ名があったり、面白いもの、ではあります。

 また、きわめて異例ですが、何処のギルドにも所属せずに二つ名を持つ者もいます。


 さて、最後に。世界最大の犯罪者ギルド『狂人の座』がこれほど大規模にもかかわらず、何故各国が放置しているのか。これは、彼らの資金源であり運営母体が各国の総代である、国連だからです。

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