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B.W.H  作者: 沼田 悠弥
2/2

すべてに備えを

いよいよ本編開始です。

楽しんでください。

2013年1月2日15時29分

アメリカ合衆国

ジョージア州

フォート・ベニング基地

第75レンジャー連隊

カイン・コーラス一等兵


「みんな聞いてくれ。

去年の最後にアメリカは新型の核によって、アラスカ州をはじめとする数々の州が壊滅的な被害にあってしまったのは、分かっているな? 奴らのおかげでアメリカ、いや世界は混乱し核への恐怖心が甚大なものとなっている。 このままでは、世界はいつ自分の国がやられるか分からないという考えから、自分達の身を守るために核を保有し続けてしまう可能性がある。 故にやつらが作った新型の核を破壊しなければ核戦争、第三次世界大戦が起こる可能性があるのだ。だが、そんな事を起こす訳にはいかない。 世界の為にもアメリカはロシア、北朝鮮、中国の三ヶ国を必ず倒さなければならない!!」


ホープ・アレン大佐は、いつもとは違う真剣な眼差しで第75レンジャー連隊第二中隊の兵士達に話をしていた。

アレン大佐は、とても部下思いで慕われていた。そしていつも笑顔を絶やさなかった。

アレン大佐は決して自分の階級を奢らず、どんな人にも敬語を使わせなかった。

訓練中の二等兵さえにも使わせなかったのだ。


そして、いつもはニコニコしているアレン大佐の顔はまるで怒りに満ちている表情だ。

無理もない。

なぜならアレン大佐の妻子は偶然にも爆弾が爆発したその日にアラスカの奥さんの実家に行ってたのだ。

すでに彼は最愛の人を失いこの数日間ずっと泣いていたらしい。

それでも、もちろん俺たちの前では、涙は見せない。

いくら精神が強靱な兵士でも30年も連れ添った最愛の人が死ねばこうなるだろう。


カインも大佐の事を慕い尊敬していた。それ故にカインも大佐に感情移入してしまっていた。

もっとも、カインに妻は、いないが。


アレン大佐はその後も話を続けた。

「そこでだ、今から約6時間前にオバマ陸軍元帥から直々に指令があった。

内容は

『アメリカの極秘衛星パラサイトから敵の新型核弾頭の位置を確認し、海兵隊フォースリーコンとデルタフォースを送り込んだが敵の対応があまりにも早く苦戦をしている強いられている。

そこで君たちは彼らの支援を行いながら彼らに続き、敵の核を破壊してくれ』

との事だ。

デルタやリーコンを支援する為にも一刻も早く我々はロシアへ向かわなければならない。 全員30分以内に用意しろ。 用意が終わったらここに集合し、各所属小隊の人数が集まったらここに集合だ。」


アレン大佐に敬礼をした後、中隊の全員が用意をしに兵舎へ行った。

カインは先見の明があった。カインは一等兵に昇格し、訓練兵を卒業した一昨日から、きっと近い内に俺たちはロシアや中国に向かわされるだろうと思っていたのだ。

それが誕生日である、二日後の今日であるとは、思ってもみなかったが。

カインは昨日からすでに兵舎での用意をすませていた。

だから他の兵士より時間に余裕をもって行動ができた。

カインはまず混む兵舎に行くより人が少ない武器庫に行くことにした。 やはり武器庫に行く道は人が少ない…というより誰もいなかった。

カインの知っている限りカインと同じ様な行動をとる人は、一人しかいなかった。

案の定武器庫にいくとそこには“カインと同じ行動をとる”、リチャード・ラミレス軍曹がいた。ラミレス軍曹は、カインの所属する第三小隊の小隊長だ。

つまりカインの上官と言うことだ。

ラミレス軍曹はユニークな性格でジョークで笑いをとったり上官の前で堂々と愚痴をこぼしたりするが、いざと言うときには冷静沈着な判断を下し時には自分が傷つこうと部下の命を最優先で守る事から、部下の信頼も厚かった。

もちろんカインも厚い信頼をしていた。

「おっ、カインもやっぱり先に武器を選びにきたのか?」

「はい。 昨日の内に用意は、終わってたんで武器を取りにきました。何の武器を持って行こうかなぁ…」

「昨日の内に用意してたとは、俺と同じく軍人としての素質があるな。まぁ俺は用意周到なだけだがな。 それより自分の好きな銃が携行可能になったのは良いよな。数年前まではすべて支給されたもので自分で選ぶ事ができなかったもんな。今は自分にあった銃を選べるからなぁ

まぁ米軍の指定した武器からしか選べないが」

「じゃあ、前までは選べなかったんですか?俺は訓練の時から武器庫に銃を取りにきてましたから」

「時代は変わったんだな…ま、俺もまだまだ若いからな。

せめて大尉にはなるぜ

で、武器決まったか?」「えぇ、やっぱり使い慣れてる銃にします」


カインは、銃を手にとり弾薬箱から弾薬を取り出した。

カインが取った銃の名前は、M4A1。

M4A1は、軽量で扱いやすい5.56mmの弾を30発装填できて、新兵には扱いやすい銃である。

更にカインが愛用しているM4A1はSOPMODと呼ばれる物で、特殊部隊向けに作られた物であるため、アタッチメントをつけるレイルが標準装備してあり、銃声を消すサプレッサーも装備可能である。

カインはこれにホロサイトと呼ばれる一枚のレンズにレーザー投影をすることによって、

従来の二枚のレンズにLED投影方式だったドットサイトよりも、広い視界があり、高い耐久性、視認性が高いレティクルを手に入れた。

そしてカインは手慣れた手つきで、リアサイトを取り除き、ホロサイトを取り付けた。夜間や少し暗い室内等を照らす為に射手から見て右のレイルにフラッシュライトを取り付けた。

左のレイルには、敵を正確に射撃し敵に見つかりずらくするために

レーザーが視認できる、レッドレーザーポインターではなく、敵に当たっている部分しかレーザーが視認できないグリーンレーザーポインターをつけた。

更に下のレイルには、火力を上げるために、M203グレネードランチャーを取り付けた。


ハンドガンはP226を取った。

P226は、今まで使われていたM92FSよりも高性能で、NAVE SEALsでは、愛用している兵士は、多かったが、コストの問題でアメリカ全軍には供給されていなかった。だが、ここ数年アメリカの経済が潤ってきた事で大量に納入されたのだ。

P226には、フラッシュライトとレーザーサイトが一緒になったP226専用のアタッチメントを取りつけた。

これは世界でカインしか持っていない、カインが自作したものだ。

カインは、非常に頭がよく機械に強かった。

そのため、このような物も時間はかかるが、作れるのだ。


ナイフは、M9銃剣を選択した。

これは、ナイフとしても使えるし、M4A1にも取りつけられるからだ。


更にM67破片手榴弾を4つ取り、M4マガジンを10個とP226マガジンを6個、M203用グレネード弾を6つとり、手榴弾は手榴弾パウチにしまった。

M4マガジンは、一つM4に差し込み、チャージングハンドルを引っ張り、チャンバーに弾を装填してマガジンを抜き取り、5.56mm弾を一発マガジンに込めて再度M4に差し込んだ。


チャージングハンドルとは、引っ張る事によってマガジンから初弾をチャンバーに送り込む部分である。

チャンバーとは銃本体に弾を一発入れておく部分の事だ。ここに弾が入ってないと銃が撃てないのだ。


ハンドガンのP226にも同じ動作を繰り返し、最後に銃の安全装置をかけてそれぞれのサイレンサーを武器庫から取り出した。


「俺はまだ考えてるから、先に兵舎に行って荷物をとりに行ってこい。後で集合場所の広場で会おう!」

「はい。ラミレス軍曹も遅刻しないで下さいよ」笑みを浮かべたラミレス軍曹にカインもにっこり笑い、武器庫をあとにした。


カインは兵舎への道へ行く途中放送がかかった。

「あー第二中隊の全員に告ぐ。 ナイトストーカーズの輸送ヘリは、まだまだベニング基地に到着しないそうだ。 よってその間腕ならしの為に第一演習場を解放する。 訓練がしたい奴はそこへ向かえ。」


放送を聞いたカインは、まだ実戦経験は無かったため、少し不安だったので最終訓練をするために演習場に行くことにした。


そのまえに荷物をとりに行かなければと思い、兵舎にダッシュした。

兵舎には、アサルトバックパックとMICHヘルメットがおいてあった。アサルトバックパックには、食料3日分の食料と懐中電灯に双眼鏡、携帯医療キットにポイズンリムーバー、替えの下着や服が入れられ

更に食べ物が大好きなカインは、チョコレートとポテトチップスとガムが入っていた。これだけ入れてもまだ空きがあるアサルトバックパックを背負った。

MICHヘルメットにはナイトビジョンスコープが取り付けられていて、夜間もこれで任務を行う事ができて、尚かつ、構造が難しく、値段が張るナイトビジョンスコープを自作できたことから、愛用するようになった。


そして兵舎にあるカインの愛用しているバリスティックサングラスを掛けマイクロフリースを着用し、最後にMICHヘルメットをかぶって演習場へ向かった。


演習場に到着したカインは、ラミレス軍曹と再会した。

今回は、ラミレス軍曹の他にカインの親友であるロイ・サンダース一等兵、副隊長のクリス・ブロッサム伍長がいた。

ロイ一等兵は第75レンジャー連隊に入る前からの親友であり、家族であった。

ロイの親は、生まれつき体が弱く、ロイが中学二年生の時に死んでしまったのだ。

そしてロイは、身寄りが無かった為孤児院送りになったので、カインの親がロイを引き取ったのだ。

ロイはカイン達に深い感謝の気持ちを持っていた。それでカインが軍に入ると言ったときに、ロイもついてきたのだ。


クリス伍長については、あまり知らない。

知っていることは、あまり他の兵士に好かれていないと言うことだ。

それもそうだ。

筋肉質の体、身長は190はあるだろう。

そして左腕にはタトゥーが掘られている。

顔はバラクラバで見えないがきっと厳つい顔をしているに違いない。


「それじゃあ射撃訓練をしよう。まず俺からだ」

ラミレス軍曹がそう言った。


ラミレス軍曹の銃はM16A4。

3点バースト機構が搭載されている銃だ。見たところM203グレネードランチャーとフラッシュライトがつけられているようだ。

そしてサイトはノーマルのアイアンサイトか。

ラミレス軍曹は第5レーンに移動し、匍匐(ほふく)してサイトをのぞいた。



ドン、ドン、ドン


次々と訓練用ターゲットを撃っていく。

ドドドン

ドン、ドドドン


終わったようだ。

全30ターゲット中26ターゲットに命中していた。

続いてクリス伍長がやり、結果は全30ターゲット中30ターゲットすべて命中。

さすがは狙撃手だ。



そして次はロイ。

全30ターゲット中、21ターゲット命中。

ロイにしては好成績だ。ロイは弾を撃つとき両目をつぶる癖がある。そのため標的に弾をあまりあてられないのだ。

だから分隊支援火器であるM249を愛用して弾幕での支援をしようとしているのだ。


そして俺の番だ。


第5レーンに移動して匍匐しサイトを覗く。


ドン、ドン、ドン


ドン、ドン…かちっ


30発撃ち終えたようだ。

結果は…


「あー第二中隊の全員に告ぐ、ナイトストーカーズが到着した。至急集合せよ」


「結果を確認する暇もないな」


放送を聞いたカイン達第二中隊はナイトストーカーズのヘリまで駆け足で移動し、ヘリに乗りこみヘリの中でレーションを渡された。


カイン達はロシアへ向かった。


地獄の始まりとは知らずに…

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