花の嵐 ──枝を離れる日に──
今、この瞬間の静けさ──
それは、風が止んだ後の凪、そして嵐の前の静けさです
初めて校門をくぐったあの春
桜の花は、枝の上で咲いていました
それは、あなたでした
陽の光を受けて、幹に育てられ、守られながら
人がそれを見る時、その姿は美しく、まだ見ぬ可能性に満ちた者への敬意、あるいは自分がもう戻れない場所への羨望もあったかもしれない
そして、どうかこのまま、咲き続けてほしいという祈りのような眼差し
それが、見守るということでした
時間はゆっくりと流れ、一日が長く、一年がずっしりと重かった
その間、花びらはどこへも行けず、風が来ても、ただ揺れることしかできませんでした
育てられる、守られるということは、そういうことでもあるのです
今日、あなたは枝を離れます
散るとは、終わりではありません
木を離れてから、ようやく、あなたの旅が始まるのです
花びらは一枚一枚、同じように見えて、同じではありません
それぞれの形、凹凸が、風を違う角度で受け取り、違う舞い方で、それぞれの場所に辿り着きます
これからの時間は、あの桜の散り際のように、はらり、はらりと、あっという間に空を渡っていくでしょう
「花に嵐」という言葉があります
良いことには障害がつきものだという意味で使われてきた言葉です
確かに、嵐は激しく、あなたを揺さぶるでしょう
でも、嵐が遠くへ連れていくこともあるのです
その風の旅のさなかで、
注意深く風を読み、流れに乗り、時には逆らい、
軽やかに受け流し、また深く受け止め、
しなやかに──突き抜けるように
離れては出会い、出会っては別れながら──
漂い、舞い上がる
そして、風が凪いだ時には、今日の静けさを思い出すのです
隣にいた人の温もり、見守ってくれた眼差し、
共に過ごした日々を──
一枚の花びらが、どこに辿り着けるかは、誰にもわからない
いざ、心して、花の嵐へ




