5,墓参り
「今夜って言ってたのに昼に行くのかよ」
聖奈はお母さんから借りた麦わらに私のワンピースを着て、いかにも年頃の夏休み女子って感じだ。この姿に虫取り網と虫かごをもたせたらかなり映える。
「だってお姉ちゃんが夜に行ってほしくなさそうだったから」
昼なので陰が出ることはない。心配することなど何も無いが暇なのでついてきてしまった。最近ずっと暇じゃないか私。この夏休みで趣味の一つでも作らないと、などと考えていたら頭が痛くなってきた。
「あっ、すんません」
前をよく見てなかったからか、人とぶつかってしまった。すぐさま体制を直して相手の安否を確認する。しかしそこで思わずギョッとしてしまった。
その女性はショートヘアにその風貌から似合わないヘアピン。そして何より印象的なのが顔。目の位置にぐるぐると包帯が巻かれていた。なにか大きな事故に巻き込まれたのだろうか。
その人は何も言わずにスタスタと何処かへいってしまった。
「大丈夫かなあの人、前とか見えるのかな」
「あの人・・・もしかして・・・」
聖奈はその女性を見て引っかるものがあったが、パッとは出てこず、気にするのをやめた。
その後は無事に墓参りを終え、夜を迎えた。
何も変わらない1日になるはずだった。きっと今夜も陰は出るのだろう。いや、実際出たのだ。
「なんだよくそっ、どんだけいんだよコイツら!」
量がおかしい。もうすでに10体は倒してる。途中に聖奈ともはぐれて安否がわからない。
私を追ってる四足歩行型の陰が4体、目の前の大通りに2メートル級が5体。
なんとか四足歩行型を撒いて、屋根に飛び乗る。
家より大きい陰が何体も見える。
「どーなってんだよ・・・」
その瞬間、菊花の頭上に影が刺す。
上空に陰!鳥型!
が、それは鳥ではなく、もはや陰ですらなかった。その姿を私達はよく知ってる。スカートにリボンに・・・まるでメイド喫茶から飛び出てきたような服装。CGのような光に包まれていて・・・
「魔法少女!?なんで私を攻撃する!?」
魔法少女から攻撃を受けた。
―――
あまりの陰の多さにお姉ちゃんとはぐれてどうなってるのかわからない。アタシは余裕だがお姉ちゃんの魔力は有限だから、そう長くは保たないだろう。
「ん!一般人!」
フードを被った金髪の男が道路をトコトコと歩いていた。
こんな時間に!しかも今日に至って!守りながら応戦するのは厳しい。
「何やってるんですか!早く逃げますよ!」
「13年ぶりに目が覚めたと思えば・・・まだ生き残ってるじゃないか、魔法少女」
!?何こいつ。ものすごい憎悪に燃えた目。人を、命をまるでゴミのように見る目。フードパーカーの下は患者衣で注射針の跡がいくつか見える。それにもう一つ気がかりなのが・・・
何こいつの握力!全く腕から離れない!
「まだ若いな、お前、春日井つるぎ、という魔法少女を知っているか?その女はさぁ、俺をこんな体にしちまったわけ。ぶっっ殺してぇなあ」
聖奈は本能でこの男はやばいと判断、短剣を取り出し男の腕を切り落とそうとする。がそれは硬いなにかに阻まれた。ガキンと人の腕からは鳴らない音がした。
義手!魔法少女の武器すら通さない猛烈な硬さ。
「落ち着けよジョーちゃん」
急に力が抜け・・・て・・・
そしてそのまま意識が途切れた。
有里瞬です。
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