40,焔
ここに一つ昔話がある。誰にも語られることのなかった神話に近しい物語である。
魔力は世界が生まれた時からあった。生物も同時に現れ、その都度、進化をした。魔力によって進化を促された生物もいた、だがそれも地球の大噴火と共に絶滅した。それでも生き延び、危害を加える存在を魔獣と呼んだ。
大噴火さえ生き延びた魔獣は地球深くコアと繋がり、いくら攻撃を食らおうが、部位を切断されようが、コアからエネルギーを強制的に送り込まれ嫌でも生き延びてしまう。一部では神獣とか言われているようだが。これは、いわゆる「ようやく死ねる」、というやつか?
地球最大のエネルギーを食らって尚生き延びる生命体がある。それが今回の話と結びつくかはさておき、魔獣が今後生まれないとも言っていない。
なんでそんな話を知っているかって?
「暇だったのさ、あんな暗い洞窟でお一人」
「うあああああああああっ!!」
衝動に任せ、情に流され、アタシは紅に対し攻撃を行わなかった。ただ泣き、叫び、死体を抱え、自分の無能さに嘆くしかなかった。
それはアタシの本能でわかっていた、どうせ勝てない、無策で突っ込んでも死体がもう一つ増えるだけだ。こんなに泣いたのは何時ぶりだろう、子供の頃、親に叱られたときくらいか、アタシは中々頑丈な子だったから。
「もう・・・やめてください。なんでもしますから、もうこれ以上、アタシたちを不幸にしないでください」
醜く、情けなく、みっともなく土下座をした。土下座なんて人生でまだ一回もやったことない。それでもアタシが相手を最も敬うならこれしかないと思った。こうでもしないと・・・もう無理だ。
すると紅の顔がぱっくりと割れそこから長い腕と禍々しい手が伸びてきた。その手はアタシの目の前で止まった。
「?」
アタシは理由も分からずその手に触れると、ブチィ!と腕ごと引き千切られた。
「っあ・・・あっぐ・・・」
もう声も枯れて痛いは愚か叫ぶことさえできなかった。
目の前が暗く、意識が遠のいていく。
「ひっ・・・ごめ・・・かあ・・・さん・・・」
アタシはいい子でいれましたか?あなたの誇れる娘でしたか?
「せ・・・な」
生意気なやつだったが、母さんも、アタシも、お前が来てからずっと家の中がキラキラしていた。本当にお前は妹だった。そんな可愛いヤツが、アタシより先に死ぬな。バカ
紅に持ち上げられ先も見えぬ大きなブラックホールのような口が開く。
「・・・・・・」
もう菊花に意識はなかった。
有里瞬です。
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