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38,言葉にせずとも

戦うことに理由を求めるのは傲慢だろうか。

今回のアタシはどうだろう、この世界に対してはどうだろう。アタシを魔女とみなし、仲間を殺し、死の淵まで追いやった奴らの住まう場所だ。アタシが救う義理はない。この肉体、菊花に対してはどうだろう。少し同情の気持ちがあるのは確かだ。だが菊花が生きていようがいまいがアタシにはどうでもいいだろう。いやアタシは知っている。アタシは死に場所を探している。そしてアリスに約束してしまった、アタシは自分に嘘はつけないタチなんだ。

そこからは語るまい。

地上最後の魔女と人知を超えた存在との戦い。空は裂け、地は割れ、光が瞬く間に動き、衝撃波を出していた。

繰り広げられる爆発、それに対し紅は宇宙の一部を具現化し飛ばしてくるという意味のわからない次元の攻撃をしてきた。

周りから見てもかなりの善戦だったろう、肉体への損傷を気にして、できる限り一方的な戦況を維持していたつもりだ。がそんな状況が続く、続けられるわけもなく、腹に大きな風穴が空いた。


1つ嘘をついていた。アタシは長く生きていく中で人の可能性にその過程で光るものを長らく見てきた。そうただ死ぬのではない。次に遺すのだ。魔法の生きるこの世界で輝くのは人の善意、希望。

「最後に、暴れてしまった」

アタシじゃ・・・勝てない。

そういって聞こえてきたのは元の肉体の持ち主、つまり菊花本人だ。

「だけどアタシの出番は終了だ、これからは君たちの時代だ」

そんなことってないよ・・・普通に考えてラスボスの目の前で初心者に変わるって罰ゲームでしょ。

「む、それはそうか、済まなかった。でも魂が肉体から剥がれていくんだ、これはアタシの意思でもどうしようもない。今のアタシが君にあげられるのはこれだけだ」

ジンジャーが手に渡してきたのはよく触っているビー玉だった。

「これは君たちそのものだ、この光が、形が、全てが君たちを導くだろう」

瞬きをすればアタシとジンジャーの位置が変わっていた、肉体が元に戻ったというわけだろう。

諦めるな、そう言ってジンジャーは霧になって消えていった。

「これ・・・元々アタシのものなのに・・・勇者の剣なんかじゃないのに」

目が覚めたらそこには紅がいるのだろう。

ただの一端の魔法少女、勝ち目はゼロ、諦めない。その一言を胸に彼女は戦い、そして――。


有里瞬です。

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