36,復讐
「いくよ、メガラテ」
茜は回復した魔力で巨体の中からメガラテの魂を引っ張り出し、自分の中に取り込んだ。最全盛期の魔力量、それは紅と同等のもので周囲の魔法少女を錯覚させた。
あぁしばらく忘れていた、この気持ちを。力を手に入れ、復讐という目的を果たし、一人歩き、その歩みを阻むものはなく。私は世界に嫌われている。それで結構、私だって世界が嫌いだ、全部嫌いだ、どうなったっていいけど
「私以外が世界を壊すのはいただけないなぁ」
そう言うと茜は紅の内部から魔力を膨張させ、紅の皮膚、外殻を突き破った。この魔力量でこの出来高なら上々だろう。私はこれにて退散、消滅するだろう。
「あ、あの男との約束は守っておかないと」
茜は最後に魔力の塊を外へと飛ばした。
―――
「紅が爆発した・・・!?」
爆発した中身から赤いコアのようなものが露出した。この吐き気がするほどの魔力密度はどうやらあのコアから出ているらしい。それを感じ取った魔法少女が即座に攻撃を仕掛ける。しかし、あらゆる魔法、武器は直撃せず吸収されていった。
「当たってない!?」
「魔力を、取り込んでる」
弱点を曝け出したのは隙を与えるためではなく、直接新鮮な魔力を手に入れるためだ。純粋な魔法少女から捻出された魔力は陰の残骸より数十倍効果がある。
「メガラテ、私達はこれからどうなるの?黙って消えてなくなるつもりだったんだけど」
もうこの塊は私とかお前の意思とか、魂とかそういう次元じゃないんだよ。強力過ぎるお前の力が自立しちまって意識が芽生えて自立してる。お前でも制御できない、全てを飲み込むぞ、本当の地獄が始まる。
曝け出されたコアは異様に発光し、無数の手が伸びてきた。
「えっキモ!」
聖奈は思い切り立ち上がり、伸びてくる手を一本一本切り落とし魔力の防壁を張って追撃を逃れた。
きゃあ、と辺りを見ると掴まれた魔法少女がコアへと吸収されている。
「どうなってるの・・・?」
ばくん、と大きな音とともに地面が割れ、紅だった残骸がオオと叫びだしコアから人影が現れる。
終焉を告げる者、地球という枠を超えた逸脱者、強大な力、いやそんな言葉では表現できない。
「うっ・・・おえぇ」
魔力を吸っただけで吐き気、倦怠感!
そして私達は悟ったのだ。
もう無理だ、と。
「あーあ、一足どころか全然間に合わなかったなぁ」
聞き馴染みのある声、私が今すぐ会いたかった人。
「おねえちゃ・・・」
「・・・」
菊花は聖奈の呼びかけには一切無視して、コアから出てきた人影に向かった。
「アタシは地上最後の魔女、ジンジャーである!そこの暗い方!アタシと勝負してもらおうか」
有里瞬です。
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