35,起死回生と
「影達が・・・紅に集まっていく?」
何が起こるかは皆目見当がつかないが、やはりこの状況下では何か良くないことが起こる想像をしてしまう。しかし自ら排出した陰をあえて取り込む、そこに何かメリットでもあるのだろうか。
「紅の中で、一体何が起こっているの?」
紅の上から人影がひょこっと現れた。それは理光だ。
「こりゃひでえな・・・」
その後ろにはミスアバランチもいた。その手にはテクノのコアを手にしていた。
「理光様・・・そのお姿は・・・いなくなられるのですか」
理光の体は紅と一体化しつつあり、体は既に変色していた。
「すこし話そう、ミスアバランチ」
―――
「俺は一体、何がしたかったんだろーな。関係のない子に拷問したり、復讐をするつもりがいつの間にか春日井つるぎという存在を否定するためにこの世界の役にたっちまった。自分で自分が嫌いになるよ、心で決めたことと行動が合ってない、所詮俺は歯車から抜け出そうとして、抜け出した気になってる痛えやつだな。俺は許されざることをしてきた。裁かれるのさ、これから。これは俺の罰さ」
理光の顔は何かを惜しむような、それと同時にすべてを諦めたかのような顔だった。
「・・・理光様は魔法だとしても、私達を造ってくださった。私達はそのことに感謝しかありません。貴方を責めるなんて、私には、私達には・・・無理です・・・!」
一瞬だとしても、あの時私達は家族だった。笑顔に溢れ、何より暖かかった。
「テクノもモンクルも、そして私も・・・理光様を愛しておりました」
「・・・なんだそれ。いなくなるのが悲しくなっちまうな・・・。」
理光様は最後にニッと笑ってみせた。
「紅はじき止まる、そしたら後は任せた。ミスアバランチ。俺の家族」
そして最後に付け足すように
「春日井つるぎを、頼む」
意識が持ってかれる。
まるで俺がこの世で一番幸せモンみたいじゃないか。これは愛だ、歪んだ愛だったんだ。最後まで中途半端な距離からちょっかいをかけるしかアプローチする方法を知らないだなんて。とんだウブ野郎だ。対立することしか関わり方を知らなかった。それ以外の方法を、俺はとっくに知っていたはずなんだがなぁ・・・。
―――
「最終的には自分すら犠牲にしてまでこれを止めたいんだ・・・やるね」
茜は陰を吸収しながら、準備万端の勢いだ。
「さ、行くよメガラテ。目覚めだ」
有里瞬です。
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