32,アリス
「ようやく紅が目を覚ました、この時をどれだけ待ったか。ええ魔法少女なんて紅の1人で十分です。手始めにこの日本から魔法少女を皆殺しにしてもらって、まぁ東南アジア辺りから潰しましょうか。いつ牙を剥いてくるかわかりませんからね、全国の魔法少女を呼びなさい、皆殺しです」
桜花はエレベーターに乗って地下深くへと降りていった、そこは洞窟に繋がっており、牢屋や拷問部屋など、現代の日本ではありえない空間が広がっていた。そして桜花はとある物体の前で跪いた。
「これでいいのでしょう?我が主、アリス。あなたをこの世に現界させる、最高の依代を持ってまいります」
桜花が崇拝するその先には人のような何かがあり、くっきりと骨格が見えるほど痩せており、ミイラ化していた。
「じ・・・じきに奴らは来る・・・魔女どもに汚染された、法外者が・・・ここにくるぞ」
「もちろん、主の身は命に変えても守ってみせます」
―――
この世界には魔法少女が存在する。国の発行する契約書に契約することで力を手に入れることができる。が、極稀に、極限状態に陥り、強い憧れと憎悪と喪失感、あらゆる感情が混ぜ合わさり自ら魔法少女へと覚醒するものがいる。
アリスはその1人だ。
約1500年頃、フランスで1人の少女が産まれた。彼女は魔法少女など縁が無いものと考えていたが、ある日、力に目覚めた。
だが1500年頃のヨーロッパでは魔法少女は魔女とみなされ、飢餓や厄災の原因とみなされ次々と捕らえられた。アリスも例外ではなかった。
地下の拷問部屋で肉を切られ骨を絶たれ皮を焼かれ、多くの死人が出た、強い生命力、魔法を持つものだけが生き延びれた。
どうやら魔法少女の肉や皮は契約書の原料になるらしい。私達を殺しておいて、そんなもの作る意味あるのか――。
そしてアリスは最後まで死ねなかった。フランス政府は流刑に処し、アリスは無限に海を漂うことになった。
「私は、魔女になんて、魔法少女になんてなりたくなかったのに」
幾星霜、アリスは漂い続け、日本に漂流したのだった。
有里瞬です。
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