間奏五:記憶渡り
止めたのに聖奈は行ってしまった。この頭に映るビジョンは?これはもしかして未来?
有栖は家のベッドの毛布にくるまっていた。家には菊花のお母さんがいるが、どうやら家事に追われていて忙しそうだ。
有栖はその隙に外に出てみた。
記憶はないが、なぜか導かれるように歩き始める、通学路にある用水路を伝って進むたびに足が重くなる。体がこれ以上進むなと警告している。だがここで止まってはいけない、私は私を知らなければならない気がした、きっと今あの家で寝転んでいる場合じゃない。私にしかできない、なにかが――。
・・・。
たどり着いたのは公園。何の変哲もないただの公園だが、なぜか冷や汗が止まらない。身震いが止まらない。
公園の近くの階段、そこを上る、この上には何があるのだろう、いやきっと私は知っている。
「古い・・・アパート」
木造のアパート。手すりは錆びていて、ギシギシと音がなる。
私は何故あれほどまで菊花を嫌っていたのだろうか。その答えがこの扉の向こうにある気がする。
ギィと扉を開けると息を呑んだ。
玄関に男の死体が1つあった。しかもその死体には頭部がなかった。それだけで吐きそうになったが、頭に電撃が走った。
「頭・・・私は知ってる」
どこに頭があるか知っている、さっきの公園の草むらを漁り、ビニール袋を取り出す。
その中には男の頭部があった。
「っあ」
思い出した。
私は魔法少女に憧れて、願ったのだ。そして菊花と戦った。殺してしまう勢いで戦っていたが、途中から菊花の雰囲気が変わった。そして彼女は、私の父の首を私に見せびらかせ私は発狂して、目が覚めたら――。
「この世界で正しいことって何?菊花ちゃんはああしなかったらきっと死んでいた。私はお父さんの首を見なければ菊花ちゃんを殺してた。未来は決まってるんだよ、私達が、魔法少女が不幸になるよう決まってる。だからこそ、私が見た未来も変わらない。聖奈ちゃんは・・・」
避けられない、それは運命だから。
有里瞬です。
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