28,魔女たるもの
魔法少女の契約書にはあらゆる力が備わっている。そしてそれらは科学的に説明できるものではない。では魔法少女の契約書が破棄された場合、その魔法少女は普通の人間に戻ってしまうのか?答えは違う、誰にも止められない、魔法少女になる。それは自由と呼ぶか、最悪と呼ぶか、それは本人次第だ。
「っは!」
ものすごい轟音とともに菊花は目を覚ました。しばらくの記憶がない、唯一思い出せるのは、殺人というべっとりと重くのしかかる事実だった。
「うッぷ・・・」
視界に一枚の紙が入ってきた。それは魔法少女の契約書だった。
「なんで・・・ここに」
その紙を手に取った瞬間、謎の風景が見える。風景?いやこれは記憶?
地下牢、罪人を留めておく場所で、拷問器具なども見える。でもこの牢には女性しか入っていない。男は?
今度は台?の上に女の人が寝ている、いや気絶している。その人は両腕がないようだった。激しく出血している。扉が開き、白い布で顔を隠したガタイのいい男が3人入ってくる。1人は顔を抑え、1人は足を抑え、最後の1人は大きな剣を持っている。女の人は泣き、叫び、漏らし、そこでゴトッとブラックアウトした。後は暗闇の中、ガサゴソ音がする。
グチャグチャ、ガリガリ、ゴリゴリ、サラサラ、ベリィィィ・・・。
グチャグチャ、ガリガリ、ゴリゴリ、サラサラ、ベリィィィィィィ・・・ブチッ。
ここは地獄、私達魔女が辿り着く場所、無限の業火に焼かれ、明日など来ず、未来など無く、今など無く。肉体が燃え尽きようと、魂が燃え尽きようと何度も何度も焼かれて、またここに来る。私達を救って、私達を自由にして。
「―――自由の魔法少女」
今のは夢じゃない、きっと現実、誰かの記憶なんだ。アタシは何も理解できなかった、いやできる方がおかしいだろう。でもこの契約書にサインするべきだと強く感じた。
アタシは最初に強く願ったじゃないか。誰かのために魔法少女になるって。きっとこのときのためだったんだ。
―――
東京近郊のビルから紅を見る2人の影。
「桜花さん、早めに避難なされたほうが・・・」
「ん?ええ大丈夫大丈夫、紅は絶対こちらの方面には来ませんから」
狂咲桜花、魔法少女制度の復活を促進させた現政治家である。
「紅は、生きていてもらわねば困るのですよええ。奴はこの日本が保持する最大の抑止力になる。今この日本が海の上に浮いているのもあれが日本にいてくれているからなんですよ」
「なぜそんなことを・・・?」
「なぜならって、ええ、私が彼女の契約書を持っていますから」
桜花はワインをグイッと飲み干した。
有里瞬です。
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