間奏四:家族写真
赤ちゃんができた。
普通なら微笑ましいことで、嬉しいことで、祝福されるべきことだ。なのに周りの人は私を良くない目で見てくる、それは親も例外ではない。理由はわかってる。悪いのはきっと私なんだ。
浦賀奏はまだ大学生だった。親の金と奨学金で私立の大学に通う至って普通の女の子である。みんなと違うところは魔法少女だってこと。でも魔法少女になるのは親のいない女の子なんだって、私は親がいるのに、なんでだろうね?
そして3つ上の彼氏がいる。名は学。誠実で聡明で議員さんなんだって。そんな彼となら何だってやれる気がした。
赤ちゃんができた、彼との関わりは大学生の範疇でやっていた。もちろん避妊もしていたつもりだ、だけど・・・
「私、どうすればいいの・・・」
周りの視線が強くなって、不自然に膨らんだお腹に嫌気が差しだす。
親からの援助は絶たれて、家に帰ることはなくなった。多分私は家族の失敗作として追い出されたんだろう、最初からそうするつもりだったし私には魔法少女の仲間がいる廃コンサートホールがある。それでももう家族最後の顔があんなに見下されるような、絶望した顔なのは少し、いや痛いほど苦しい。
「僕は君がどんな選択をしようと尊重する、君と一生生きていく、そう誓ったからね」
今の私を見てくれるのは彼と魔法少女のみんなだった。
大学もやめて、私は魔法少女として生き、この腹の子を産むことにした。お腹が大きくなるごとに魔法少女としての活動は少なくなり、彼も忙しいのか1週間に1回会うのが精一杯だった。それでもよかった。これが私の幸せの形なのだと納得した。
「あなたが産まれたら名前は聖奈にしましょう、うふふ、可愛い名前」
「ああ、本当に素敵な名前だ。そうだ、この子の服やおむつ、おもちゃも買っておこう」
「まだ早いよ、でも、そうね3人そろって早く写真を取りたいわね」
写真?なんでかな。私なんでこの時、写真を取りたいだなんて言ったんだっけ。
ごめんね、私はもうあなたの顔を見ることができないけど、そこにいるのはわかる。暖かくて、私が最も愛した人。あぁこの手で聖奈を抱いて、3人で家族写真を・・・
奏は死ぬ間際にそんなことを思っていた。
「・・・奏・・・?」
有里瞬です。
読んでいただきありがとうございます。ぜひ応援してください。




